ツィード期のフェンダーアンプ

少し前に、フェンダーの入門用ギターアンプのチャンプについて書きました。
比較的安く入手できるのですが・・・シンプルな造りのせいか、フェンダーらしい良い音がするので、製造時期が違うものを数台入手してしまいました。

中でも、音が良いのがツィード期のチャンプで・・・ちょっと音量を上げただけで、ご機嫌なクランチサウンドを得られます。
ブラックフェイスやシルバーフェイスは出力が小さいとはいえ、家でクランチサウンドを出すのには躊躇するほど音量を上げなければなりません。

そういえば、中型アンプのデラックスも同じ傾向で、ツィード期のものは歪みやすいです。
考えてみれば、不思議です。
当時の音楽は、ほとんど歪ませない音で・・・ロックなんて音楽も未だありませんでした。
というか、エレキギター自体もジャズのフルアコぐらいです。

そもそもチャンプとかデラックスという名称はスチール・ギターと同じ・・・おそらく、同じ名称の組み合わせで演奏する事を想定していたのでしょう。
そのほか、プリンストン、プロフェッショナル、ホワイトなんていう名称が、スチール・ギターとアンプに共通しています。

スチール・ギターといえばハワイアン、他にもカントリーなどでも使われますが・・・当時はPAなんて無かったので、ウクレレ等と一緒に演奏するため、そんなに大音量にする事がなかったからかもしれません。
一方、ジャズの世界でも、チャーリー・クリスチャンとかジャンゴ・ラインハルト等のようにソロを弾く人はいましたが・・・ほとんどのギタリストは、それ以前のピックギターで行っていたように、ビックバンドでリズムを刻んでいただけだったので、やはり大きな音量にすることは無かったのではないでしょうか?
だから、歪むまで音量を上げていなかったように思います。

その後、ソリッド・ギターやエレキ・ベース等により音楽が大音量化するにつれて・・フェンダー・・アンプも音量を上げても歪まないように進化?していったのですが・・・エリック・クラプトンの登場で、一気に歪んだ音が求められるようになっていまい・・・クリーンな音を売りにしていたフェンダー・アンプは時代遅れになってしまったのです。
そして、皮肉なことに・・・ギタリストは、かつてのフェンダーが造っていたアンプの歪んだ音を求めるようになってしまったのでしょう。

そういえば、ジミヘンのシンクロナイズド・トレモロの使い方を見たレオ・フェンダーが「あれはそんな風に使う物では無い」と言ったそうですが・・・おそらく、ツィード期のアンプで歪ませたサウンドを出すギタリストを見て、レオ・フェンダーは、同じことを思ったのではないでしょうか?
もっとも、最初からディストーションサウンドを狙って造られていなかったからこそ・・・わざとらしさがなくて、その素直な歪みが心地良い音と感じられるのかもしれません。

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ツィード期のチャンプ・アンプ

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フェンダー・チャンプ スチール・ギター

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ツィード期のデラックス・アンプ

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フェンダー デラックス8 スチール・ギター