せっかくのゴールデンウィークなので、どこかに行こうと思ったのですが・・・どうせ混んでいるので近場にしようと思ってあれこれ考えたのですけど・・・結局、いつも通りに展覧会を観に行くことにしました。
で、展覧会の情報を調べたら・・・開催したばかりの東京都美術館の「デ・キリコ展」が目にとまりました。
どうせゴールデンウィーク中だとチケットは簡単にとれないだろうと思っていたら、ネットであっさり日時指定券が取れてしまいました。
さらに、美術館に行ったら、意外と会場も空いていて拍子抜けしました。
もっとも、上野公園は動物園などへ行く子供連れで大混雑・・・ということで、思っていたほどキリコは人気が無いみたいです。
個人的には、シュルレアリスムが好きなので・・・シュルレアリスムのパイオニアといえるキリコの「形而上絵画」には興味があります。
特に「形而上絵画」がダリ、マグリット、タンギーなんかに与えた影響は大きいように感じます。
ところが、イタリア広場とかマヌカンといった作品の主題毎にまとめて展示されていて・・・制作年代がごっちゃになっているので、説明を読まないと美術界に衝撃を与えた初期の作品なのか分かりづらかったです。
キリコは、「形而上絵画」を描いていた時期(1910年代)の後、一時期古典的な絵画を描くようになり、その後、再び「形而上絵画」を描くようになるのですが・・・初期の「形而上絵画」作品と後年の「形而上絵画」作品が、あまり差が無いようで・・・並べてあると、どちらも同じ頃に描かれたように見えるのです。
画家としては、ルノワール的な描き方などに取り組んでいたようですが・・・あまり、美術界の流行の影響を受けていないようです(もちろん、初期の作品のインパクトを除けば、後年は他の画家に影響を与えたという感じもありません)
逆に言えば、初期の「形而上絵画」の完成度が高く、それだけスタイルが確立されていたという事ですね。
さらに、夢の世界のような印象を与えるためか、「形而上絵画」の作品は一貫してあっさりした塗り方で、リアルさが感じられません。
油絵特有のマチエールも活かしてなく、水彩の作品とそんなに変わりない印象でした。
そんな訳で、写真と違って実物を観たというインパクトはあまり感じませんでした。
一方、良かったのが彫刻作品・・・そもそもマヌカン(マネキン)なんて、彫刻として表現するのが正しいと言えるかも。こちらは、意外な発見でした。