ギブソン神話

今日は、ギブソンが経営危機で倒産の可能性があるという話題について書かなければいけないでしょう。
これまで読んでくれた人は、ご存知だと思いますが・・・私は、ギブソンのギターが大好きなので、ちょっぴり残念です。

ギブソンのどこが良いのか?と言うと・・・はっきり言えば、見た目なのです。
特に、ヴィンテージと言われる60年代ぐらいまでの機種は、オービル・ギブソンが個人製作していた頃のモデルから一貫して通じるデザインの特徴があるように思います。
それは、優雅な丸みを帯びた曲線と直線の絶妙なバランスで・・・マンドリンのF5のデザインなんかは、その当時の、他のメーカーがオーソドックスなデザインばかりだったのに、よく考え着いたなと思うほどです。

もちろん、実験的な意味合いを持つフライングVエクスプローラーなんかでも、デザインのバランス感覚が優れているし、ヘッド形状なんかにも絶妙に曲線を取り入れています。
そいえば、、外部デザイナーを採用したファイヤーバードでも、ヘッドストック形状は戦前のスタイルOアーチトップのカッタウェイと似たものを感じます。

しかし、70年代に入ってから登場したモデルは、デザイン的にギブソンらしくない物が増えてきて、同時に大量生産のため品質も低下しました。
特に、新しくできたナッシュビル工場で作られたモデルは、従来のカラマズー工場で作られた物より、かなり品質が落ちたような気がします。
そういえば、ナッシュビル工場で作られたレスポール80は、カッタウェイの形状から缶切りと言われるように、デザイン面でも、ちょっと変でした。

これまでも、CMIやノーリンに買収されても、トップ・メーカーとしての位置づけを守ってきました。
これは、楽器を制作する従業員がそのまま残っていたから、伝統や制作技術が引き継がれたためだと思います。
一方、ナッシュビル工場への移転では、カラマズーから一部の職人しか移らず、後は新しく現地で採用した職人だったから、デザインが変わったり品質が落ちたのでしょう。

現在のギブソンは、さらに品質が悪くなっているような気がしますが・・・だからといって倒産して、伝説のメーカーとなってしまうのは悲しいです。
今後、ギブソンがどうなるのか判りませんが・・・もし、どこかの企業に買収されるのならば、是非、職人をそのまま残して、伝統を受け継いでいって欲しいものです。

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珍しい?戦前のギブソンヴィオラ