河野賢No.20

先日、ヴィンテージ・ギターは希少な木材を使っているので、価格の高騰は続くだろう、という事を書きました。
今では入手が困難である品種の木材が豊富にあったので、その中でも良質の材を選別して使っていたのですから、当然なのかもしれません。

以前、河野賢の初期のギターを入手した事を書きました。
未だ、ヨーロッパに渡る以前の1960年製で、ラベルには318と書かれていますが、これは型番ではなく製造番号だと思われます。

ちなみに、河野賢といえば、今は亡き日本を代表するクラッシック・ギターの巨匠です。
ロック好きの私が、彼の名前を知ったのは、イエスのギタリストであるスティーヴ・ハウが彼のギターを使っていたからです。
なんでも、来日した時に、わざわざ河野賢を訪ねて購入したという話ですが・・・スティーヴ・ハウが使っていたのは、1973年製のNo.10という、それほど高級でない機種でした。

先日、ネット・オークションを見ていたら、同じ1973年製の中級機種No.20が安く出品されていたので、思わず落札してしまいました。
ヨーロッパのコンクールで金賞を取って、凱旋帰国した後のギターは、どれほど違いがあるのだろう?と、思ったのですが・・・確かに良くはなっていたのですが・・・想像するほど、渡欧する前と比べて凄く良くなってはいませんでした。
おそらく、元から、ギター製作の才能があったようですね。

ところで、届いたギター、良く見るとサイド&バックがハカランダの様な木目です。
この時期、日本の安いギターでは、板目のインディアン・ローズウッドが使われている事も多く、ハカランダと勘違いされ易いので・・・調べてみたら、後年No.20はインディアン・ローズウッドになりますが、この時期はハカランダが使われていた事が判明しました。

そもそも、木材は柾目の方が品質が良いのですが・・・丸太から柾目にとれる部分は僅か、残りは板目になってしまいます。
そこで、希少なハカランダは板目の部分も使用する事が多いのですが・・・昔の日本の安いギターでは、インディアン・ローズウッドでも板目を使っていました。
このため、ハカランダは板目で、インディアン・ローズウッドは柾目と思い込んでいる人が、昔の安い日本製アコギにハカランダが使われていると勘違いするケースが多いのです。

でも、流石に、河野賢ですね・・・中級機種でもちゃんとハカランダを使っていました。
(中級機種と言っても、他のアコギ・メーカーに比べれば高価だったから?)
ハッキリ言って、音は、柾目のインディアン・ローズウッドを使った1960年製とそんなに変わりませんでしたが・・・なんとなく、得をした気分です。

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河野賢 No.20 1973年製