モネの革新性

昨日は、「ルーヴル美術館展」に行ったことを書きました。
見ごたえはありましたが・・・個人的に、凄いと思うような作品はなかったので、ちょっと今一つな感じでした。

ところで、土曜日のテレ東の「美の巨人たち」はモネのジヴェルニーの庭を取り上げており・・・昨日のNHKの「日曜美術館」は現代の芸術家が語るモネの革新という内容でした。
両番組とも、モネを題材にしているなんて、珍しいですね。

そこで、思い出したのが・・・数年前に東京都美術館で開催された「モネ展」のこと・・・目玉の「印象、日の出」は輝くような画面で驚いたのですが・・・それよりも、感動を覚えたのが、晩年の抽象画のような大きな作品たちでした。
ルーヴル展と違って、大盛況で混んでいたのですが・・・後日、再び観に行ったぐらい、素晴らしかったです。

この時代、モネは目を悪くしていたので、大雑把な絵しか描けなかったともいわれますが・・・それよりも、見た目に捕らわれずに、対象の本来の姿をとらえようとする意識から、あのような作品が出来上がったのだと思います。
そのような絵に向き合う姿勢があったからこそ、モダンアートのアーティストにも大きな影響を与えているのでしょう。

そもそも、印象派自体が上述の「印象、日の出」という作品から発生したと言われていて・・・その時から、すでにモネは革新的だったんですね。
一般的に、チューブ絵の具が開発され、屋外で直に対象を見ながら油絵を描けるようになった時、画家は時間をかけていたら陽の当たり方によって見え方が変わる事に気づいて・・・大胆で、素早いタッチで描くようになり・・・印象派の描き方が生まれたと言います。
そういった意味では、「印象、日の出」なんて、まさに一瞬の場面を描いていますよね。
ちなみに、それまでは、画家は屋外で写生した物を元に、アトリエで材料から絵の具を作り、油絵に仕上げていたので・・・実物の風景の持つ感動が薄れてしまったのです。

モネは、同じモチーフを様々な時間で描いているため、モチーフを描くと言うよりは、時間自体を表したかったのではないか?とも言われますが・・・私には、時間で変化するような見え方に捕らわれたくなく、見た目の奥にあるモチーフの真の姿をとらえたかったからだと思うのです。
だから、晩年には抽象画のような作品に到達する事ができたのではないでしょうか?

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「しだれ柳」 モネ
小さく見えますが50号ぐらいの大作で・・・知らない人がみたら、絶対抽象画だと思うでしょう。

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当時の「モネ展」のチケット、チラシ、作品リスト