AIという存在

先日、7月22日にNHKで放送された「AIに聞いてみた どうすんのよ!? ニッポン」という番組を視て、あれこれ感想を書きました。
今日になって、同番組ついて、ITmediaで「AIに聞いてみた」の疑問点を「NHKに聞いてみた」という記事が載っていました。

やはり、番組内容について、疑問に思った人も多かったようですね。

記事によると、どのような手法を使ったのかというITmediaの問い合わせに対して、NHKからは大まかな手法について回答があったそうですが、今ひとつ具体性が無かったそうです。
そして「内容の透明性のために、論文で公開する意思はないのか?」という問い合わせに対しては、「現在のところ予定していない」という回答だったそうです。

興味深かったのは、「NHKのAIが分析した相関ネットワークの中には、擬似相関はないのか?」という問い合わせに対して「分析によって導かれたネットワークの中には、擬似相関が含まれる」と回答したそうです。
ちなみに、擬似相関とは「関係のない2つの事柄に、あたかも因果関係があるように見える相関」だそうです。

つまり、番組でも述べられていましたが「AIは理由や因果関係は分からない」として、「AIの分析結果を読み解くのは人間の仕事」という位置づけです。
この点について、先日も書きましたが「人間の仕事」の部分が恣意的だったような気がします。

例えば、「健康になりたければ病院を減らせ」という提言を導き出すのに、健康な人の増減に対して連動する事柄を調べるのではなく、病院の増減に対して連動する事柄を調べている事・・・これでは「病院を減らしたければ」を調べていることになります。

おそらく、健康な人が増えるのには、他にも多くの連動する事柄があって、その中にはもっと健康になるために重要な事柄もあったのでしょう。
しかし、視聴率を上げるには、ショッキングな提言する必要があったので、病院の増減に連動するようにしてしまったのでしょう。

記事にも書いてありますが・・・AIの分析結果だけでは、関連性があるように見えるというだけなのに、AIが断定的な提言をしたように表現している点にも疑問が残ります。
制作側としては、意外な事柄の関連性を推理して楽しむという、娯楽番組のつもりだったのかもしれませんが・・・
AIという存在は、将棋で人間に勝ったり、自動運転を行ったり、将来的には、多くの人間の仕事を奪ってしまうなんて言われるような、人知を超えた存在と思われていて・・・それが導きだした答えという形にしてしまった事が多くの誤解を招いたのでしょう。