人間の仕事

昨日のNHKスペシャルは「AIに聞いてみてみた どうすんのよ!!?ニッポン」というタイトルでした。
なんでも、「社会問題解決型AI(人工知能)の分析結果から導き出された”ムチャな提言”にマツコ・デラックスが耳を傾けてみる」という番組だそうです。

ちなみに、NHKが開発したAI「ひろし」のムチャな提言というのは、
・健康になりたければ病院を減らせ
少子化を食い止めるには結婚よりもクルマを買え
・ラブホテルが多いと女性が活躍する
・男の人生のカギは女子中学生の”ぽっちゃり度”
・40代のひとり暮らしがニッポンを滅ぼす
という刺激的なもの・・・これに対して、マツコ・デラックスさんと有働由美子アナウンサーなどがコメントする内容が興味深かったです。

なお、AIは理由や因果関係は教えてくれないので、AIの分析結果を読み解くのは人間の仕事だそうです。
そもそもAIの提言自体が正しいかどうか?という問題もあると思いますが・・・人間の仕事の部分が今一つな感じがしました。

例えば、健康になりたければ病院を減らせという提言なのですが・・・病院数(病床数)が減ったりするとき連動したデータを調べてみると「癌死亡者数が減る」、「脳血管疾患死亡者数が減る」なんていうのがあり、さらに「バナナの購入額が増える」、「ボランティア・社会活動時間が増える」といったものがあります。
これは、全国47都道府県30年分の5000種類におよぶデータを元にして、連動する5年後の傾向をAIが導き出しているとか。
そして、具体的な例として、財政破綻で総合病院が閉鎖された北海道夕張市を取材すると、各自が自分の健康に気を配るようになり、健康のためにバナナを食べたり、活動的になるためボランティアを行うようになったそうです。

しかし、そもそも「健康になりたければ」というテーマなのに、最初から病院数(病床数)のデータを調べる事自体が変な感じです。
何故、健康な人の増減に連動するデータを調べないのでしょうか?
おそらく、健康な人が増えると病院数(病床数)が減るというデータでは、当たり前すぎてテレビ的に面白くなかったからだと思います。

それから、病院へ行くのは、癌患者や脳血管疾患患者に限った話ではありません・・・他の病気もあるし・・・怪我などの場合はどうなんでしょう?
さらに、夕張市のように総合病院が閉鎖されたら、入院患者は他の地域の総合病院へ行くので、結果的に「癌死亡者数が減る」や「脳血管疾患死亡者数が減る」ようになる気もします。

つまり、分析結果を読み解くという人間の仕事が恣意的なように思えます。
だから、テレビ的には面白い提言ですが・・・真に受けて病院数(病床数)を減らすのは、止めた方が良いと思うのです。