糸巻きの聖母

両国の江戸東京博物館で開催されている「特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチ -天才の挑戦」という展覧会を見てきました。
もちろん、お目当ては「糸巻きの聖母」です。

以前は「糸車の聖母」と言っていたのですが・・・何故か、今回は「糸巻きの聖母」という名前になっています。
十字架のような糸巻き(糸車)を、魅せられたように見つめる幼児イエスと、それを不安気に見つめる聖母マリアの構図が印象的な傑作です。

ダ・ヴィンチの円熟期の希少な作品であり、日本初公開という事ですが・・・そもそも、英国のパクルー公爵家の所蔵で、これまでの英国外の展覧会への出品は、ダ・ヴィンチの故郷のイタリアで1回だけというので、今回を逃すと見れる機会はほとんどない作品だそうです。

展覧会は「受胎告知」の時と同様に、メインは「糸巻きの聖母」で、そのほかはダ・ヴィンチの手記とかデッサン、そして他の画家が描いたダ・ヴィンチ作品の模写やダ・ヴィンチから影響を受けた作品、手記を元に作られた模型などで構成されています。

展覧会自体、結構混雑しているのですが・・・「糸巻きの聖母」は、さらに長蛇の列に並ばなければ見ることができません。

で、見た印象は、思ったより小さい絵だな・・・というもの、たぶん、「モナ・リザ」よりも一回り小さいのではないでしょうか?
絵自体から受ける印象も、「モナ・リザ」や「受胎告知」に比べると、今一つな感じがしました。
これは、背景が後の時代に加筆された物という影響もあるかもしれません。

一方、マリアとキリストの人物は、さすがに良く描けていると思いました。
一緒に展示されていた、ダ・ヴィンチ作品の模写やダ・ビンチの影響を受けた作品なんかは、人物のバランスが不自然な物が多かったのですが・・・さすがに、ダ・ヴィンチは、手や足など部分のデッサンを繰り返したり、解剖学的な知識が反映されているので、そのような不自然さがまったくありません。

ちなみに、「糸巻きの聖母」には、もう一つ、ランズダウン公爵家が所有していた物が存在しています。
こちらは、背景とイエスダ・ヴィンチの手によるものだと言われていて、現在は個人蔵で非公開だそうです。
できれば、こちらも見てみたいものです。

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