睡蓮の復元

昨日は、国立西洋美術館で開催されている「松方コレクション展」を観に行った事を書きました。
有名な絵も多く、多量な作品が展示されており、コストパフォーマンスが高かったのですが・・・会場が混んでいて、観るのが大変でした。

この展覧会の見どころの一つが、この度発見されて、修復作業が行われたモネの「睡蓮」です。
この「睡蓮」について、先ほど、NHKスペシャルで、「モネ 睡蓮 よみがえる”奇跡の一枚”」というタイトルで取り上げていました。

この作品について、昨日は、上半分が喪失しており、こんなものか?と感じたと書きましたが・・・修復作業がいかに大変だったか?が良く判りました。
特に、AIによる喪失部分のデジタル復元の困難さ・・・残された白黒写真から、色を推測して描くのが、想像以上に大変みたいです。

最初に、他の作品からモネの色使いをAIに学習させたのですが・・・下半分と雰囲気が異なってしまったそうです。
なんでも、若い頃の作品の色使いも含めて学習させたためで、本作品が描かれた頃の晩年の作品の色使いにウエイトを置いて学習させる必要があったとか・・・
このあたり、やはりNHKスペシャルの番組である「AIに聞いてみた どうすんのよニッポン」でのAIひろし君のように、人がどのようにAIに学習させるか?によって、結論が異なってしまうのが面白いですね。
しかし、それでもモネの作品の雰囲気が出ないので・・・最終的には、モネの筆使い(タッチ)を学習させて・・・デジタル復元を完成させたそうです。

個人的な考えなのですが・・・このような復元の仕方って、確かにオリジナルを良く再現しているのですが・・・写真による複製画と同じで、オリジナルの持つインパクトを失ってしまうような気がします。

特に、印象派のような場合、画家が対象から受けたイメージを一気に描いているで・・・細かな部分まで正確に再現しようとすると、却って、その画家の想いが伝わってこなくなってしまうような気がします。
むしろ、その作品を観て受けたイメージを、他の画家が一気に模写した方が、雰囲気が伝わるかもしれません。

ちなみに、展覧会では、最初に別の「睡蓮」が展示されており、最後にこの修復された「睡蓮」が展示されていたのですが・・・やはり、最初に展示されている「睡蓮」の方が、受けるインパクトが大きく感じられ・・・修復された方は、モネが何に感動して描いたのか?伝わってこなくて・・・それは上半分が喪失しているというだけでは無いように思います。