ボッティチェリ展

先日、江戸東京博物館で開催されている「レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の挑戦」について書きました。
見どころは「糸巻きの聖母」だけって感じで、他のデッサンや手記などは今ひとつな気がしました。

それまで、それほど興味が無かったのですけど、東京都美術館で開催されている「ボッティチェリ展」が気になったので見に行きました。

というのも、「ボッティチェリ展」の目玉の一つが「書物の聖母」で、両者とも聖母子を描いているし・・・レオナルド・ダ・ヴィンチもサンドロ・ボッティチェリもイタリアのルネッサンス期で同時代を生きていたからです。

で、「ボッティチェリ展」の方も混んでいました。
でも、こちらの方は、「美しきシモネッタの肖像」等、見ごたえのある作品が数多くあったので、「糸巻きの聖母」のように一つの作品の前に長い行列を作って並ぶということはありませんでした。

展覧会の印象は、いかにもルネッサンス的な華やかって感じ。

ボッティチェリというと、はっきりした輪郭線を使った平面的な感じの絵で、ダ・ヴィンチスフマートを使った立体的な表現とは、随分違った印象です。
また、人体の表現も、解剖学に基づいたダ・ヴィンチとは異なり、バランス的に不自然な感じがします。
ダ・ヴィンチの描かなかった光輪も、まるでアクセサリリーのように繊細で装飾的なものが描かれています。

そんな事から、ボッティチェリは中世的な技法を引きずっているような気がしていて・・・それが、最初に展覧会を見に行く気にならなかった点でもあるのです。

でも、ボッティチェリの初期の作品や師匠であるフィリッポ・リッピの絵を見ると、それほどくっきりした輪郭線を描いていなのに気が付きました。
それに、デッサンを見ると、かなり正確に人体を描いています。

つまり、わざと輪郭線を強調して、中世的な雰囲気を出していたのです。
現在でも、わざと古風な雰囲気を出そうとする画風の画家がいるのと同じだったのでしょう。
また、同じような顔の向きや傾きが多いことから、美しいと思う人体の形を組み合わせて描いていたのでしょう。
だから、バランス的に不自然になったのだと思います。

鮮やかな色彩を多用していることもあり、なんとなく、様式美という言葉が頭に浮かびました。

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ボッティチェリ展」の作品リスト、チケット、チラシ、会場に置いてあった新聞の号外