新宿駅の奇妙な思い出

年の瀬ということで、列車の人身事故が増える時期になりました。
幸い事故の現場に居合わせた事はありませんが、話によるとかなり悲惨な場合もあるようですね。
まあ、色々事情はあると思いますが・・・急いでいるときに列車が遅れるのは困りものです。

京王線新宿駅で、電車を待っているときに、ふと思い出したのが、5年ぐらい前の年の瀬の出来事です。

確か午前中で、電車が行ってしまった直後だったため、ホームにはほとんど人がいなくて、ホームをふらふら歩いていく、女の人が一人見えたぐらいでした。
ぼんやり、乗車位置のところに佇んでいると、「危ないよ」という声がしたのです。

で、そちらの方向を見ると、先ほどの女性がホームの端ぎりぎりのところに立っていて、中年の男性が声をかけたようでした。
その女性は、かなり若い感じで、なにやら中年の男性に返事をしています。
たぶん、構わないで、とか言っているようでした。
しばらくすると、中年の男性が「駅員さ~ん」と大声をあげたのです。
すると、その女性は慌てて立ち去りました。

その後も、その女性はふらふらとホームを歩き回っていたのですが・・・やがて、私の方へ向かってきます。
うわぁ~、こっちに来るなよ・・・と思っていると、私のそばで、またホームの端ぎりぎりに立つのです。
わざわざ、人のそばでそんな事をするのは、本気ではなくて、構ってほしいだけなんだろう、と少し思ったのですが・・・仕方ないから、「危ないですよ」と声をかけました。

そうしたら、「やっぱり新聞とかに載るんですかね・・・水商売風の女性とか書かれてしまうのかな?」なんて言うのです。
「水商売風に見えますか?」
良く見ると、結構、美人です。
「そんなでもないよ」
おもわず返事をしてしまいました。
「こう見えても学生なんですよ・・・でも、卒業できなくて、長野の母になんて言ったらいいのだろう」
なんのこっちゃ、と思って黙っていると
「死んだら、母は、ここにきて悲しむのかな」
なんか気の利いたことを言ってあげようかと思ったのですが、何も思いつきません。

すると、駅員さんが歩いてくるのが見えたので、先程の男性同様に「駅員さ~ん」と声をかけたのです。
彼女は慌てて、駅員さんにむかって「何でもないです」と言って、足早に立ち去っていきました。

電車がホームに入ってきたので、乗り込んで窓の外をみたら、彼女は未だホームをふらふらと歩いていました。

その日は、新宿駅で人身事故のため遅延という運行状況が流れないか、一日中気になっていたのですが、幸い何もなかったです。