無届け介護ハウス

土曜日にテレビ東京の「美の巨人たち」という番組で藤田嗣治の特集をやっていたので、翌日、東京国立近代美術館へ行ったら、入場無料でラッキーだったという事、
そして、美術館の前の皇居側を大勢の人が歩いているのを見て、皇居の乾通りの一般開放が行われている事を知って、皇居の中の紅葉を見れた事も、先日書きました。

そんな感じで、日曜日は、とても得をした気分で帰ってきたのですが・・・その夜、放映されたNHK特集「いま 介護の現場で何が 調査報告 無届け介護ハウス」という番組を見て、現実に引き戻されました。

無届け介護ハウスというのは、個室やスプリンクラーのように法律で義務付けられた設備が無いため、自治体に届けていない老人ホームの事だそうです。

なんでも、有料老人ホームだと約25万円/月かかるそうですが、無届け介護ハウスだと約10万円/月だそうです。
(無届け介護ハウスは、訪問介護という扱いで、自治体から25万/月の報酬を受けて足りない分を補填しているとか)
このため、無届け介護ハウスは、増加する金銭的に行き場がない高齢者の受け皿となっているそうで、NHKの調査によれば、全国で1941か所も存在するそうです。
行政の目が届かないため、安全性に問題があり、無届だと罰則はあるそうですが・・・他の受け皿となるようなものが無いため、今まで罰則が適用された事例はないそうです。

番組では、親を無届け介護ハウスに預けている家族の話なども紹介されていましたが・・・
現在、親を介護している身としては、将来、在宅で介護できなくなった場合、さすがに1か月25万円支払うというのは難しいので、やはり安全性に不安があっても、無届け介護ハウスに預けざるを得ないだろうと思います。

介護保険制度が始まって15年だそうですが・・・この制度は、在宅介護を重視していたのですが、実態は、核家族化や単身化により、介護が必要な高齢者が急増し 施設が足りなくなったそうです。
それで、施設を増やす事を行っているのですが、働く人材を確保できないため、特別養護老人ホームのなかには空き室が増えているそうです。

さらに、医療費を抑制しようとする国の政策により、入院期間を短くすると診療報酬を多く受ける事ができたり、7割以上退院させれば診療報酬が増えたりするそうで、このため、病院から無届け介護ハウスへの高齢者の収容を依頼する事が多いそうです。

こんな状況のため、無届け介護ハウスは増加しているのですが・・・国が全国の自治体に指令を出し、無届け介護ハウスの規制を強めているそうです。
このようなちぐはぐな行政の対応を見ると、介護保険制度は、誰のため、何を目的にしているのか、という疑問を持ってしまいますね。

なんか、似たような感じの無認可保育園の問題とかもあるし、安倍首相のいう新三本の矢の「夢を紡ぐ子育て支援」とか「安心につながる社会保障 介護離職ゼロ」なんて言葉はむなしく感じてしまいます。