ハカランダ

ギターに使われる希少材といったらハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)についても書かなければいけませんね。

なんでも、植林や保護活動の結果、とっくにブラジル政府の絶滅危惧種の指定が解除されているとか・・・
未だワシントン条約のリストには載っていると言う事なのですが、近い将来、ハカランダを使ったギターが多く出回るようになるかもしれないと期待しています。

誤解していたのですが、インド産のローズウッド(インディアン・ローズウッド)の代替材がハカランダです。
なんとなく、ハカランダの代替材がインディアン・ローズウッドみたいな気がしていました。

インド産のローズウッドは日本では紫檀と呼ばれ、仏具などで昔から珍重されていました。
同様に、中世ヨーロッパでも、高級材として、王侯貴族の家具等に使用されていました。
それが、新大陸発見後、似た木材が見つかり、代替材として安価で大量に供給されるようになりました。
それがハカランダです。

ギターにハカランダが使われるようになったのも、音色よりも安価で供給量が多かったからのようです。
先日、20世紀初頭にハカランダの価格が上がったので、安い価格帯のギターにマホガニーが使われるようなった事を書きました。
何故、インディアン・ローズウッドに切り替えなかったのか?というと、この当時は、未だインディアン・ローズウッドが高級材だったからです。
その後も、伐採や土地開発等によりハカランダは希少となっていきます。
そして、1960年代にブラジル政府は、木材保護のためハカランダの原木の輸出を規制します。
このため、ハカランダの入手が困難になり価格が高騰して、インディアンローズウッドと立場が逆転したのです。

さて、肝心の音色なのですが・・・
弾き比べると、ハカランダは明るく力強い音で、一方のインディアンローズウッドは暗く湿っぽい音がします。
もっとも、これは弾き比べて判る程度で、そんなに違いはありません。
むしろ、ギターの個体差の方が大きいです。
そんな訳で、質の良いインディアンローズウッドの方が質の悪いハカランダより音が良いという意見に賛成です。
もっとも、ハカランダの音はやはりハカランダ材でなければ出せないのというのも事実です。
だから、そこに価値を見出す人は、高いお金を払ってハカランダのギターを買うのもアリだと思います。

それから、指板材では、エボニーは吸湿性が悪く汗で滑りやすくなるし、インディアンローズウッドは少しかさついているので、しっとりしたハカランダは丁度良いと思います。
もっとも、ここいらへんは微妙な違いだし、最近の多く登場したハカランダもどきの木ではかわりません。

下の写真は、左側がハカランダ材を使った1968年製のマーチンD28、右側がインディアン・ローズウッド材の1970年製マーチンD28です。
値段は倍以上違いますが・・・少しハカランダの方が暗い色というだけで、両方とも柾目なので、(音色同様に)並べてみなければ区別がつきません。

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