キューバン・マホガニー

昨日は、ライ・クーダーキューバの老ミュージシャンと製作した「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を紹介しました。
キューバと言えば、ギター好きの私は、幻のギター材であるキューバ産のマホガニーキューバン・マホガニー)を思い浮かべます。

ビンテージ・ギター等で使われたホンジュラスマホガニーが希少材となってしまったため、最近はアフリカン・マホガニー等の代用材が使われるようになって、ホンジュラスマホガニーを使ったギターは高価で取引きされるようになってしまいました。

実は、このホンジュラスマホガニーも代用材で、本来のマホガニーとはキューバン・マホガニーだったというのは、ギター好きでは有名な話です。
でも、キューバン・マホガニーを使ったヴィンテージ・ギターは、ほとんど存在しないという事は、あまり知られていません。
何故かというと、答えは簡単ですね、キューバン・マホガニーの方が、ハカランダ(ブラジル産ローズウッド)なんかより、先に希少材になってしまったからです。

キューバン・マホガニーは、高級材として18~19世紀に家具などで大量に使用されて、希少材となってしまいました。
その後も、少数は流通していたのですが、戦後はキューバ政府により輸出禁止になってしまいました。

一方、ギターやウクレレ等にマホガニーが使われるようになったのは、20世紀初頭です。
ハカランダの供給が減って価格が高騰したので、低価格帯のギターをマホガニー製に切り替えたのです。
だから、価格が高く希少なキューバン・マホガニーではなく、価格が安く大量に供給できるホンジュラスマホガニーが使用されたのです。
ちなみに、マーチンのスタイル17にマホガニーが使われるのは1908年、スタイル18は1917年で、それまではハカランダが使われていました。

もっとも、小さいメーカーや個人製作家では、戦前にキューバン・マホガニーを使ったギターを作っているところがあります。
また、戦後も、古い家具を解体したり、戦前に別の地域に植林した木から採れた材を使って、キューバン・マホガニーを使ったギターがごく少量作られています。

残念ながら、キューバン・マホガニーを使ったギターは弾いた事がありません。
聞いた話では、キューバン・マホガニーホンジュラスマホガニーに比べて密度が高いので、ローズウッドに近い音がするそうです。
また、色が赤黒いのも特徴なのですが・・・
マーチンのマホガニー製品は、赤黒く着色されているのが多いのですが、キューバン・マホガニーに似せたのでしょうか?

キューバアメリカの関係が正常化されたら、キューバン・マホガニーのギターが入手できるようになるかもしれないなんて、ちょっと期待しています。

私の所有する、一番古い(1920年頃)マホガニー製品 マーチン taro-patch (8弦ウクレレ
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