フーズ・ネクスト

昨日は、ザ・フーについて書きました。
あまり知られていませんが、ザ・フーは早い段階からシンセサイザーを導入したことも注目に値します。

1971年に発表された「フーズ・ネクスト」では、シーケンサーを使った電子音が聴けます。

未だ、シンセサイザーが登場して間もなく、当時は他の楽器の代わりとか、自然の音のギミック的な使われ方がほとんどでした。
それらのサウンドは、当時のプログレッシブ・ロックの代表的なアルバムで、ピンク・フロイドが1970年に発表した「原子心母」とか、EL&Pが1971年に発表した「展覧会の絵」とか、YESが1972年に発表した「危機」なんかで聴けます。

しかし、「フーズ・ネクスト」では、シンセサイザーの無機質なサウンドを効果的に使っています。
1970年代末に登場した、テクノ・ポップの原型とも言えるでしょう。

そういえば、昔、この話をキーボードの奴にしたら、全然知らなかったので、「フーズ・ネクスト」を貸したことがあります。
そしたら、「すげぇー良かった。あの1曲目(ババ・オライリィ)は聴いた事があっったんだけど、誰の曲だろうと思っていた。フーってこんな曲やっていたんだ。」なんて、言っていました。

この「フーズ・ネクスト」は、もともと、「トミー」に続くロック・オペラとして計画された「ライフ・ハウス」というコンセプトが元になっています。
この「ライフ・ハウス」は、映画や演劇も取り込んだプロジェクトだったのですが、あまりにも壮大な計画過ぎて頓挫してしまいました。
・・で、この「ライフ・ハウス」用に作曲した曲を、まとめて作ったアルバムが「フーズ・ネクスト」なのです。

ちなみに、この「ライフ・ハウス」は、コンピュータに管理される未来の世界で、若者たちがロック音楽に触発されて自由をかちとる、というストーリーだったとか・・・
だから、シンセサイザーの無機質なサウンドを造りだしたと思います。

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「フーズ・ネクスト<デラックス・エディっション>」 ザ・フー M・C・A

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当時のプログレッシブ・ロックの代表例  「原子心母」 ピンク・フロイド 東芝EMI