ギブソンJ200

先日、ジョン・レノンナチュラルのJ-160Eに似たカスタムオーダーのJ-45を紹介しました。
ジョン・レノンのアコギというとレット・イット・ビーの時に使用していたマーチンD28とギブソンのJ-200が思い浮かびます。

あのJ-200は、ジョージ・ハリソンから借りたそうですけど・・・
もともとはボブ・ディランからジョージにプレゼントされた物らしく、ボブ・ディランが「ナッシュビルスカイライン」のジャケットで手にしているギターだそうです。

1967~1968年に作られたJ-200で、オクターブ・チューニングが可能なチューン・O・マチックのブリッジを搭載しているのが特徴なのですが・・・・
重たい金属のブリッジのため、トップの振動が抑えられて、純粋なアコースティック・ギターとしての鳴りは今ひとつです。
しかし、独特なサウンドがあるので、ローリング・ストーンズザ・フーのように、この時期のJ-200を使うミュージシャンも多く、けっこう人気のあるギターとなっています。

実は、この時期のJ-200には、もう一つ隠れた特徴があります。
サウンド・ホールからボディの中を覗いてみると、トップ・ミュートと言われるものが取り付けられているのが判ります。
これは、トップから浮いた中空にブレイシングが設けられており、そこからミュートを押さえつける事により、トップの振動を抑えて、サスティーンを抑えたパーカッシブなサウンドを作り出すことが可能です。
(トップミュートの機構には、ネジを使ったものやバネを使ったものがあります)
もっとも、このトップ・ミュート機構も、使う頻度は少ない上に重たくなるので、中空のブレイシングを切って外してしまっている個体も多いです。

なお、このトップミュートに呼応するような感じで、ネック・ブロックもラミレスのクラッシック・ギターのような形になり、サウンド・ホール上側のブレイシングは省略されています。
ここいらへんも、独特なサウンドを生み出す秘密かもしれません。

ビートルズのJ-200はサンバーストなのですが、私が所有するものは、トップがナチュラル・フィニッシュでサイド&バックがウォルナット・フィニッシュという、この時期だけ僅かに存在した仕様のものです。

なお、このギターで、ジョージの名曲「ヒア・カムズ・ザ・サン」を弾くと、まさにあのサウンドで、他のギターに無い独特な雰囲気があって凄く良いです。

イメージ 1
ギブソン J-200 1968年製

イメージ 2
ギブソン J-200 1968年製のバック
ウォルナット・フィニッシュを透してトラ杢が見えます。

イメージ 3
トップ・ミュートの様子
少し見づらいですが、中空のブレイシングにネジの頭が見えます。
ネジを回すと、ミュートが表板に押し付けられます。