神の見えざる手

ここのところイスラム経済について書いてきました。
実は、現在の資本主義経済ってちょっと正しくないんじゃないか?と思っています。

昔、「ソ連が崩壊したら、誰もマルクス経済を学ぼうとしない」って、教授が嘆いていました。
イスラム経済もマイナーだし、やはり資本主義経済が現在のスタンダードと言って良いと思います。
経済学も色々ありますが、ほぼ資本主義経済の現象をどう解釈するか、ということで、価値観を変えるほどのものではありません。

で、資本主義経済の基本は、アダムスミスのいわゆる「神の見えざる手」、つまり需要と供給のバランスで価格が決まるという法則だと思います。
要するに、欲しがる人が多くて、売りたい人が少なければ価格が上がり、売りたい人が多いのに欲しがる人が少なければ価格は下がるということですね。

だから、無名でも実力のある画家が一生懸命に描いた絵より、タレントが簡単に書いたイラストの方が何倍も高い価格になったりします。
その品物にかかったコストとか、品物自体の良し悪しとは関係ないのです。
(この場合は、タレントという付加価値が高いのです)

また、価格を決めるのは売り手と買い手なので、その売買によって影響を受ける人が沢山いても関係ありません。
いわゆる「市場の失敗」といわれるような場合もあるのです。
その代表的な例が、環境問題です。
そして、このような外部性といわれる市場メカニズムから外れた物を、市場メカニズムにとりこもうとするのが環境経済で、例えば、環境税というのがあります。
(ガソリンだと、炭素税ですね)

でも、後から税金をかけるのではなくて、そもそも物の価格の決め方が間違っているような気がします。
例えば、環境を破壊するのなら、同じ環境を再生するのに幾らかかるのか?ということから価格を決めるべきだと思っています。
そうすれば、その物の本当の貴重さが良く理解できると思うのですが・・・

イメージ 1
環境経済学入門」R.K.ターナー/D.ピアス/I.ベイトマン著 大沼あゆみ訳 東洋経済新報社