あるインディアンの酋長の訴え

昨日は、今の資本主義経済はちょっと正しくないんではないか、という事を書きました。
少し判りづらかったかもしれません。
実は・・・昨日は、正しくないと思った時のエピソードを書きたかったのですが、長くなりそうだったので省略しました。
なので、今日はそれを書きます。

ある環境保護団体が招いたインディアンの酋長の講話を聴きに行った時のことです。
その酋長の部族は、昔からカナダの奥地で自然に囲まれて暮らしていたそうです。
そして、気づいたら、周囲の土地は都会に住む白人の所有物になっていたとか・・・
そして、その白人が山のすべての木を日本の商社に売った事で問題が発生しました。
日本の商社は、いわゆる皆伐(木をすべて切ること)をしだしたのです。

皆伐をすると、日光は直接表土に降り注ぎます。
表土は乾燥して、風に舞い上がり粉塵となります。
そして、家や畑に降り積もります。
落ち葉などの養分に富んだ表土が失われると、新しく木は生えてきません。
もちろん、森にいた動物はいなくなり、狩猟はできなくなりました。
また、雨が降ると、表土は川に流れ込みます。
川は養分が増えてプランクトンが大量発生し、魚が住めなくなりました。
さらに、川が流れ込んだ海では赤潮が発生して、漁業ができなくなりました。

酋長は、木を切るのをやめてもらうため、あるいは少なくとも皆伐でなく間伐(間を空けて木を切ること)にしてもらう事を訴えにに来たのです。

酋長の話で印象に残った事が二つありました。
ひとつは、日本は木が無い国だと思っていたのに、成田空港に到着する飛行機の窓から見えたのは、緑豊かな国だったのです。
何故、自分の国の木を切らないで、カナダの木を切るのか判らないと言っていました。
二つ目は、切られた木は、トイレット・ペーパーや割り箸になるものと思っていたそうです。
でも、そのレッド・シダーという赤茶色の木肌の木材は、園芸店やホームセンターでウッドデッキやプランターというガーデニング用品で使われていたのです。
ガーデニングという自然を愛する日本人が、何故カナダの自然を破壊するのか判らないと言っていました。

そもそも、土地の所有権を白人が取得したのが変ですよね。
そして、その白人は、土地には価値を見い出しても木には興味はなかったので、二束三文で売ったのだと思います。
この価格も変ですよね。
もし所有者が酋長たちだったら、木の重要さを知っていたはずだから、売るとしてもはるかに高い金額で売ったはずです。
間伐に比べて、皆伐はコストがかからないというのも変です。
周囲に悪い影響を与えたのだったら、ちゃんと被害を補償したうえで、その費用を皆伐した材木の代金に乗せるべきです。
そして、わざわざカナダから日本まで輸送しても、日本の木材よりも安いというのも、どうにかしたいです。
日本では、輸入材に押されて林業は衰退し、山は手入れが入らず荒れ放題だといいます。
農業生産物と同様に地産地消を進めるべきだと思います。
環境経済的にみると、山を皆伐すれば二酸化炭素の吸収量が減りますし、輸送による二酸化炭素の排出量についても、環境税をかけるべきですね。

いかがでしょう、経済的に変だとおもいませんか?

もちろん、日本のガーデニング愛好家に、実態を知らせないのも良くないですよね。
自然を愛するなら、ガーデニング用品を買うより、カナダの自然のために行動して欲しいと思います。