食糧環境経済

昨日は、食料が運ばれてくる距離の指標であるフードマイレージについて紹介しました。
フードマイレージに応じて課税すれば、食料安全保障にもなるし、温室効果ガスの削減になるのではないか?と思っています。

何故、IT技術者の私が農業問題に興味を持っているのかと言うと、そもそもは環境問題に興味を持ったからです。
環境問題について色々と調べてみると、現在の経済では、需要と供給のバランスで価格が決まるので、環境負荷を価格に反映していないのが原因ではないか?と考えるようになりました。

例えば、以前紹介したカナディアン・インディアンの酋長の話のように、日本の商社が白人から安く森林の木を購入して皆伐してしまい、森の生態系を壊してしまったため、豊かな森の恵みがなくなり、動物もいなくなり、河口付近の海でも魚が捕れなくなって、膨大な損害を及ぼした事などがあります。

そこで、経済について詳しく知ろうと思って、通信教育で大学の経済学部に入学して、勉強することにしました。
・・・で、環境経済学という分野があることを知ったのですが・・・それを勉強しても、今一つ、釈然としませんでした。
確かに、外部経済と考えて環境税とかで対処すればよいのですが・・・そもそも価格の決まり方自体に問題があるような気がします。

そんな中、出会ったのが、以前も紹介した、ケインズの弟子の高名な経済学者であるE.F.シューマッハの「スモール・イズ・ビューティフル」という本です。
はじめて、環境問題と経済について納得のいく考えを読んだ気がしました。

例えば、仏教経済学という考え方・・・・仏教では、物に執着しないので、価格によって購入する量が変わるという、需要と供給のバランスは成り立たないのです。

そして、工業が無くても人は生きられるが、農業が無かったら人は生存できない。という、シューマッハの言葉に愕然として、農業の大切さを知りました。
考えてみたら、農業がなかったら、工業は成り立たないのです。
農業をおろそかにしていて食糧自給率の低いわが国では、食糧輸入が途絶えたら、工業どころではなくなるという事を認識しなければいけません。

農業経済学の教授が、学生が集まらないので、講座がなくなるかもしれない。というように嘆いていましたが・・・おそらく私以外の人もも、農業よりも工業へ目が向いているのでないか?と心配しています。

昨日も書きましたが、食糧問題と環境問題は密接にかかわっています。
食糧問題に注意を向けるなら、環境問題にも注意を向けるべきだと思っています。
そういえば、地産地消も、農林水産省なんかは農村活性化として捉えていて、直売所とか学校給食なんかに取り組んでいますが・・・フードマイレージのように、環境問題としても捉えて、もっと環境省ともタッグを組んで取り組んでほしいと思います。

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「食料環境政策学を学ぶ」 明治大学農学部 食料環境政策学科編 日本経済評論社

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「食料環境経済学を学ぶ」東京農業大学食料環境経済学科編 筑波書房