自己責任?

以前、カンボジアポルポト派の大虐殺を後になって知ったことを書きましたが、そういう意味ではイスラム国に殺害された後藤さんのような戦場ジャーナリストの存在は、現地の状況を知ることができるので有難い事だと思っています。
そういえば、2004年にイラクで殺害された戦場ジャーナリスト橋田信介さんが、日本では軍事専門の記者が「戦場」に立たないで「戦況」を予測することが理解できない。と言っています。
あるいは、あふれるほど「事実」は報道されます。表面に見える「事実」が多ければ多いほど「真実」隠されます。と言っています。
報道される数字とか表面的な事だけで判った気になってしまいますが、それでは本当の現地の状況は判らないですよね。

そして、今回の事件についても、自己責任問題を言う人がいます。
悲しいことだと思います。
(もちろん、必要以上に美化するのもおかしいですけど・・・)

確かに、他人に迷惑をかけない、というのは日本人の美徳だと思います。
そういった意味では、大勢の人に心配や迷惑をかけているので、判らないでもありません。
でも、本来、人の世は他人に迷惑をかけるもの、困った時はお互い様とか持ちつ持たれつというように成り立っているのです。
他人に迷惑をかけないことが、当然のことでないからこそ、美徳とされるのです。
私なんか、そこいらじゅうに迷惑をかけてばかりいるので、特にそう思います。

昭和のドラマとかであるように、お米が無いから隣に借りに行くなんていうのが、昔は当たり前だったのです。
もちろん、借りに来られた方でも、お米がなくなったのは自己責任だから貸さない、なんて言わずに気前よく貸していたものです。
同様に、雪山で遭難したり、荒波で溺れるような場合でも、危ないところにいるのが悪いなどと言わず、救助するのが当たり前だと思います。
もちろん、助けてもらった人は、迷惑をかけてすみません、とあやまるのが当然だと思いますが・・・
たぶん、後藤さんと湯川さんも、迷惑をかけてすみません、と思っていたのではないでしょうか?

困っている人がいたら、何とかしてあげたいと思うのが、自然だと思うのですけど・・・
最近では近所付き合いとか人間関係が希薄になっているので、無関心とか自己中心的な考え方の人が多いのかもしれません。
そういえば、欧米でイスラム国へ参加する人は、周囲から差別をされた人とか、人間関係の希薄な孤独な人が多いと言います。

これは、私たちの社会の問題なのかもしれませんね。

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イラクの中心でバカとさけぶ」橋田信介著 アスコム

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「世界の戦場でバカとさけぶ」橋田信介・橋田幸子著 アスコム