NHK朝ドラ「らんまん」

NHK朝ドラの「らんまん」が最終回を迎えました。
近年の朝ドラにありがちな途中でストーリーが破綻することもなく、高視聴率で評価も高いようです。

 

ちなみに、この前の朝ドラ(舞い上がれ!)終了時に下記のように書きました。

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子供時代が素晴らしかったのに、大人になったら普通の演出になってしまった気がします。
もちろん最近の子役の演技が凄いという事もありますが、どうも番組開始は視る人の興味をひくため力を入れて演出していたのですが、そのうちマンネリ化して手抜きになったのではないか?と思っています。
「らんまん」は実在の人をモデルにしているので、ある程度ストーリーに統一性があると思われます。

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NHKも判っているのか・・・今度の「ブギウギ」も実在の人物をモデルにしているし、その後の「虎に翼」も実在の人物をモデルにしています。

 

もっとも、BSで再放送されていた名作「あまちゃん」のように、架空の人物でも最後まで構成をよく考慮された脚本であれば、ストーリーに統一性があるはずです。
そのため、「あまちゃん」の再放送を視ていると、当時は唐突な展開に思えた事が実は伏線がはられていたのを発見するという楽しみがありました。
例えば、荒巻太一鈴鹿ひろ美の内縁関係が判明した時は唐突に思えたのですが・・・それより前に、二人が昔つきあっていたのか?と寿司屋の大将へ訊ねたら「つきあっていたというか、今も一緒に住んでいるんじゃないの?別れちゃったの?」という答えが返ってきたのが、当時はオチかと思っていました。

 

さて「らんまん」ですが・・・後半、万太郎があまり活躍しなくなった分、寿恵子が活躍するようになって、視る側の興味を持続させたたのが良かったと思います。
個人的には、浜辺美波さんって、こんなに演技が上手かったのかと驚きました。
最初の美人でオタクな和菓子屋のお嬢さんというあたりは、ああやっぱりこんな感じね、と思っていたのですが、妻となり母となってからが良かったです。

 

多くの人が絶賛していましたが、凛とした演技も・・・

「どうして生まれかわらなければいけないのか」と高藤の申し出を断る

白波五人衆をもじって借金取りに対応する(版元が見つかったら、借金取りの名前を謝辞に載せるという約束はどうなった?)

料亭での菊比べで、万太郎に倣って花に優劣は無いという口上を述べる

渋谷の衆に対して妄想を語り、待合茶屋を開くことを宣言する

・・・という風に肝の座り方が徐々に堂に入っていくのが素晴らしかったです。

 

また、母親としての演技も素晴らしかったです。
若い女優さんだと、育児に一生懸命という演技が多いのですが・・・ほどよい演技で、なんか普通のお母さんといった感じがしました。
神木隆之介さんが父親感を全然ださない(というか子供の一人みたい)のに、槙野家が本物の家族のように思えたのは浜辺さんの演技によるものでしょう。

 

さて、「らんまん」はとてもよくできた作品だと思いますが・・・個人的に残念な点は、草花の良さが今一つ伝わってこない点です。
例えば、草花の魅力のひとつである香りについての描写が、長屋にあったドクダミが臭いぐらい、しかありませんでした。
おそらく、脚本家は図鑑などの資料を元に記述していて、ほとんど実物の植物に会っていないのでしょう。
実物を手にして草花の魅力をもっと理解していれば、さらに万太郎の植物に対する愛情も伝わってくるような脚本になったと思います。