カムカム・エブリイバディ

在宅勤務のためMHK朝ドラを視ていますが・・・「カムカム・エブリバディ」が最終回になり、世間では評判が良いようです。

続いて放送される番組「あさイチ」で、鈴木奈穂子アナが号泣した等のめり込んでいたのに対して、博多華丸大吉は冷めた朝ドラ受けをしていたように、女性(特に主婦)でハマる人が多かったようです。

 

前回の「おかえりモネ」が終わった時に壮大な交響曲のようだったという感想だったので、はたして「カムカム・エブリバディ」は交響曲か?歌謡曲か?と書いたのですが・・・主婦向けの歌謡曲という印象でした。

100年の親子三代のファミリー・ヒストリーというので、交響曲という期待もあったのですが・・・「おかえりモネ」が自然や気象を取り扱ったのに対して「カムカム・エブリバディ」は家族を扱っていたため、ロケが少なくスタジオでこじんまりとしたシーンが多かったのも、影響しているかもしれません。

 

100年を描くため、展開が早く、それも胸キュン等ドラマチックのシーンの連続だったのが主婦に受けたようです。

また、昔の朝ドラや流行歌等の懐かしいシーンも、過去を語る事が好きな女性には好評だったようです。

「おかえりモネ」が役者の演技でストーリーを表していたため、画面を視ていないと話についていけないという話がありましたが、「カムカム・エブリバディ」は演技の上手い役者を揃えていたくせに、時間短縮のためセリフやナレーションでストーリーを展開したため、家事の片手間に視る事がある主婦にも配慮されていたようです。

 

そのため、感情表現の描き方などが今一つの部分もあったようで・・・私が鈍感だから理解できないのかもしれませんけど・・・

例えば、ハイライトのシーンの安子とるいの別れなど・・・安子は大阪でロバートと一緒のところを見られた事を知らないので、るいに「アイ・ヘイト・ユー」と言われて思い当たる事は入学式に行かなかった事ぐらい・・・あれほど「るいは私の人生なの」と言っていたくせに、何故あっさりとロバートとアメリカに行ったのか?最後に「るいの気持ちを考えていなかったのに気づいた」と言っていましたが、ちょっと納得ができない感じ。

それに、あれほどるいの額の傷について後悔し、手術で治すためにお金がある雉真の家に残す事にしたのに、再会した時にるいの傷が消えていない事を気にしないのも変だし。

分かれた後にも、るいを遠くから見守る事はなく(消息を調べた形跡もなく)シアトルでロバートと幸せな生活を送っていたのも変だし・・・名前を変え経歴を詐称し岡山に行きたがらないのも、まるで嫌な過去を消し去りたいようで理由が判らない?

さらに、ひなたから逃げ周るのも何故だか判らない?

るいの幸せのために別れたのではなく、ロバートとの愛のためにるいを棄てたので罪悪感があったというのなら、あり得ると思いますけど。

 

さて、番組のテーマですが・・・これまでの登場したキーワード、例えば「ひなたの道を歩けば、人生は輝く」、「暗闇でしか見えない物がある、暗闇でしか聞こえぬ歌がある」、「日々鍛錬し、いつ来るか判らぬ日に備えよ」とか、一貫性がなさそうで、テーマは何なんだろうと思っていたら・・・「一日一日の積み重ねが百年になるという事を表現した」そうで・・・どちらかというと「日々鍛錬し、いつ来るか判らぬ日に備えよ」がテーマを表していたのでしょう。

そういわれると、番組のタイトルは毎日のラジオ英会話番組名だし、タイトルバックも日々の暮らしから全体を俯瞰する展開なので、納得しました。

ちなみに、「おかえりモネ」でも、タイトルバックの風になびく布や番組名が、みんなつながっていて循環しているという事を表していました。

 

「日々鍛錬し、いつ来るか判らぬ日に備えよ」ですが・・・「備えよ」というように受け身の言葉で・・・この作品では、他の多くの朝ドラの主人公のように自分から積極的に人生を切り開く感じではないです・・・というか、登場人物のほとんどが運命に翻弄され流されていたのが特徴でした(自分で人生を切り開く性格なのはトミーぐらいか?)。

 

伏線も「おかえりモネ」は、幼い頃皆で手を繋いでUFOを呼んだのが「みんなつながっている」事を表し・・・親が元教師で塾を始めるというのが、モネが祖父から教わった「みんなつながっている」という事を次世代に引き継ぐなど、番組テーマを扱った大事な伏線だったのですが、「カムカム・エブリバディ」は大量の伏線を使っていましたが、多くの主婦が好きなミステリー作品のような謎解き的な伏線でした。

さらにこの伏線が、あのエピソードがここに繋がるとか、赤い糸伝説など運命論が好きな女性向けの印象で・・・実は、ひなたが文四郎と再会した時の「It's fate(これは運命)」が番組の本当のテーマだったような気もします。

 

個人的には、運命が決まっていたら面白くないと思っているので、運命論は好きでないです。