ここのところ、1984年前半のリッケンバッカー325V63試作機とかハカランダ指板が使われた1992年前半のフェンダー・スティーヴィ―・レイヴォーン・ストラトキャスターのような、あまり知られてていない名機について紹介してきました。
今回は、1982年~1983年に製造されたエピフォン・アメリカン・シリーズを紹介します。
アメリカン・シリーズという名前から判るように、当時のエピフォンは日本製だったのに、アメリカで製造されたギター達で・・・それも、閉鎖直前のギブソン・カラマズー工場製でした。(一説によると、カラマズー工場にストックされていた木材の有効利用が目的だったとか)
アメリカン・シリーズは、以下の3モデル(5タイプ)がありました。
・スピリット
後に登場するレスポールDCに似たダブルカッタウェイのギター(ボディ・トップはフラット)で、1ピックアップのスピリットⅠと2ピックアップのスピリットⅡがありました。
・スペシャル
当時のギブソンのラインナップにはSGスタンダードしかなく、SGシェイプの廉価版にあたり、こちらも1ピックアップのスペシャルⅠと2ピックアップのスペシャルⅡがありました。
・USAマップ・ギター
アメリカ合衆国の形をしたギターで当シリーズで一番有名・・2ピックアップモデルのみありました。
いづれも、ヘッドにEpiphon USAのシルクスクリーン・ロゴ、オープンタイプのニューPAF(ティムショウPAF)ピックアップ、シャーラ―製のコンビネーション・ブリッジが共通仕様でした。
また、塗りつぶしフィニッシュのギターでは、マホガニーやメイプル以外にアルダーやポプラの木材も使用されています。
1983年にサミックと契約し、エピフォン・ブランドは日本とアメリカから韓国に製造拠点が移転します。
これにともない、アメリカン・シリーズはギブソン・ブランドとなりナッシュビル工場で製造が続けられます。
移行期には、エピフォンのロゴにギブソンロゴを上塗りしたギターも存在するという話もありますが・・・一部の例外を除いてアメリカン・シリーズは、エピフォン・ブランドがカラマズー工場製、ギブソン・ブランドがナッシュビル工場製となってしまいました。
で、皮肉なことに、ギブソン・ブランドよりエピフォン・ブランドの方がクオリティが高いという結果になりました。
USAマップギター以外は、安く売られているので見つけたら掘り出し物になります。
ネックはマホガニー製ですが、ボディはアルダー製です。