日曜日に放送されたNHKスペシャルは「運慶と快慶 新発見!幻の傑作」というタイトルでした。
新たに、運慶作や快慶作と認められた仏像も興味深かったですが・・・二人の生き方についての再現ドラマも面白かったです。
個人的には、東京国立博物館で開催された「運慶」展が凄く良くて、仏像に興味を持つようになり・・・その後、同博物館で開催された「快慶・定慶のみほとけ」も見に行きました。
ところで、再現ドラマを見ていて、気になったのが・・・仏師が僧形だった事です。
でも、当時の仏師が僧だったとは思えません。
もちろん、僧侶が仏像を彫る事はあったでしょうが・・・運慶や快慶のような、いわゆる慶派と呼ばれる仏師集団は、様々な宗派の寺院の仏像を作っている事から・・・依頼があればどんな仏像も作る専門職だったと思われます。
そんなことから、彼らは、一体どんな宗教を信じていたのだろう?なんて考えてしまいます。
そもそも、初期の日本の仏師は、中国の仏像をお手本として、それほど人間に似ていなく、もっと様式化された仏像を作っていました。
恐らく彼らは、仏像を作りながら・・・仏様って、こういう姿をしているのだろうと、信じていたのだと思います。
でも、慶派が活躍する時代となると・・・仏像は、もっとリアルな人間に似た形へと変化します。
きっと彼らは、自分が信ずる仏様を作るより、その仏像を見た人の心を動かす事を目的に彫っていたのではないでしょうか?
そういえば番組でも、東大寺の仁王像を解体修理して、観た人に感銘を与えるように、制作の途中で変更が加えられていた事が判った、と言っていました。
しかし、彼らの制作方法は、一木造りではなく、多くの木材を組み合わせて仏像を作るので・・・木の中に仏様なんて居る訳ないですよね。
つまり、慶派の仏師なんかは、熱心な仏教信者というよりは・・・現在の芸術家に近い意識だったのでしょう。
だから、リアルな躍動感がある仏像を作っていても、それは見る人に感動を与えるためで・・・真の仏様がそんな姿をしているとは、思っていなかったように思います。