縄文土偶の美

今日のNHK日曜美術館は「縄文”美”の発見」というタイトルでした。
先日、観に行った国立博物館の「縄文」展をとりあげたものだったので、興味深く拝見しました。

番組では、初めて国宝に指定された縄文のビーナスについて、特に時間をかけて取り上げていました。
展覧会を観たときには、国宝に指定されているのは当然のように思っていたので・・・国宝に指定されるまで、こんなに苦労があったなんて知りませんでした。

もっとも、日曜美術館という美術を取り上げる番組なので、国宝指定までの苦労なんかよりは、もっと様々な縄文時代の美意識について、詳しく説明してもらった方が良かったのでは?という気も、ちょっとばかりしました。

かつて、私が縄文時代の美について認識したのは、「遮光器土偶」や「火焔型土器」だったので・・・逆に、「遮光器土偶」が国宝でないのは何故?なんて思っています。
国の宝というべき、日本を代表する土偶と言えば、教科書にも載っている「遮光器土偶」でしょう。
確かに「縄文のビーナス」や「縄文の女神」の美意識は素晴らしいと思いますが・・・「遮光器土偶」もかなり独創的な美意識だと思うのですが・・・重要文化財どまりというのが不思議ですね。

番組では、縄文のビーナスについては、CTスキャンなどで、どのように作られたのかの説明がされて・・・熟練した職人により、かなり緻密に計算されて作られた事が判り、ちょと驚きました。
さらに、中空土偶は表面の厚さが数ミリなんていう話も・・・縄文時代は原始的な技術しか持っていなかっただろう、なんていう先入観が覆されました。
こんな感じだと・・・「遮光器土偶」などの他の土偶についても・・・一体、どうやって作られたのか?という興味が沸いてきます。

土器は焦げた跡があり、実際に煮炊きに使われたそうですが・・土偶は祭祀に使われたといわれ・・・数千年にわたって修復したりして大切に扱われたとか・・・
今の感じで言うと、昔の有名仏師が作った仏像なんかと同じような扱いなのでしょうか?

単に、縄文人の独創的な美意識で作り上げたというだけでなく・・・それだけのものを作るというためには・・・深い信仰心に基づき、地道な試行錯誤を重ねたり、手を抜かない姿勢、という背景が隠されている事に気づき・・・だから、現代人、そして世界中の人の心にも訴えるのだと思います。