さらに、「若き洗礼者ヨハネ、」はスペイン内戦で破壊された石片(全体の40%)から復元されたもので・・・なんか、フランケンシュタインのような継ぎ接ぎが痛々しい感じです。
という訳で、ミケランジェロの芸術を期待して展覧会を観に行くと期待外れになるので、注意が必要です。
ちなみに、展覧会では、ルネッサンス期に再現されたラオコーン像が展示されています。
その結果、鍛えられた肉体というものが崇められるようになり、オリンピックも開催されるようになります。
ちなみに、当時のオリンピックは全裸で競技したとか・・・そして、ギリシャ神話の神々も、理想的な身体で彫刻されるようになったのです。
この影響を受けたミケランジェロの初期の作品、例えばピエタ像のマリアはキリストと同い年ぐらいの若い姿で、理想の身体をしていますが・・・歳をとった作品では、ロンダニーニのピエタに見られるように理想の身体でない姿を模索するようになります。
また、立体感の強さや膨らんでくる感じという事で番組で紹介された「目覚める囚われ人」という作品をみれば・・・ミケランジェロの「長きにわたる探求と試みの果てに死近くして芸術家は石の中に生きた像を見い出すことができる。高く新しい作品に達するのは人生も残り少なくなってからなのだ。」という言葉の意味が良く分かります
この言葉、木の中の仏を掘り出すという運慶の話を思い浮かべますが・・・もし、ミケランジェロが運慶の作品を観る機会があったら、どのように感じたのか?なんて、思ってしまいました。
「ミケランジェロと理想の身体」展 チラシ チケット 作品リスト