ホモ・サピエンスの広まり

昨日のNHKスペシャルは人類誕生シリーズの第3集「ホモ・サピエンス ついに日本へ!」でした。
このシリーズは、第1集から、結構、面白い内容なので、期待して視ました。

ちなみに第1集は、人類の祖先誕生から、様々な種類の人類に進化し、どのように人類を特徴づける能力を獲得していったか?を描いていました。
そして、第2集は、私たちの直接の祖先であるホモ・サピエンスが最強のライバルであるネアンデルタール人と出会い、共存していたのに・・・何故、ホモ・サピエンスだけが生き残ったのか?を描いていました。

今回は、ホモ・サピエンスが何故、世界中に広まっていったのか?について描いていましたが・・・シリーズの最終章としては、ちょっと期待外れに感じました。

そもそも、これまで人類の進化について客観的に描いていたのに、視聴者を意識して日本列島という土地について取り上げたのが、不自然に感じました。
確かに、アフリカで誕生したホモ・サピエンスが世界的に進出するうえで、日本列島という土地がは遠くに位置しており、南方から海を渡るか、北方から凍った土地を通らなければ到達できません。
だからといって、日本列島が特別な土地なのか?というと・・・例えば、べーリング海峡を渡って南米最南端のパタゴニアや、イースター島のような絶海の孤島まで、ホモ・サピエンスは進出しています。

番組では、ホモ・サピエンスが日本列島へ渡るには、黒潮で流されない丸太をくり抜いた舟を作るだけの斧などや・・・凍った土地を通るために、動物の毛皮から衣服を縫うため、動物の骨から作った針など・・・道具を作る能力・・・・そして、目的のために集団で行動する能力も重要だと述べています。

そういった意味では、パタゴニアイースター島に到達するには、同様に、道具を作る能力や集団で行動する能力が必要なのですが・・・日本列島へ渡る事なんかに比べると、はるかに困難だったはずです。
そして、何故、そこまでして、ホモ・サピエンスは新たな土地へ進出しようとしたのか?という観点で、番組を作るべきだったように思います。

これまでのシリーズの2集は、人類の弱点が、新たな能力を獲得するのに役立ったというような、これまでの常識とはちょっと違った視点で描いていましたが・・・今回は、そういった独特な見方が無かったのも、ちょっと残念に感じました。