資本主義の限界?

昨日のNHKスペシャルは「ネー・ワールド 資本主義の未来(1)世界の成長は続くのか」というタイトルでした。
なんでも、アダム・スミスの「神の見えざる手」で表される資本主義は、歴史的転換点に差し掛かっているそうです。

世界で発生している異変・・・世界の下位層36億人の総資産がトップ62人と同じという格差、ヤング・ホームレスの増加による、若い労働力とスキルの喪失など・・・単なる不況ではなく 資本主義の根幹にかかわる問題だと言われています。

番組の中で、学者が話していた
金融危機や不況は感染症のようなもので治療すれば治ります。しかし、長期停滞は、いわば慢性的な病気で、どんどん社会を衰弱させていくのです。」
という言葉が、印象的でした。

そして、「いわばスーパー資本主義ともいうべき異質なものが生まれようとしています。より早く、より効率よく、より手ごろなものを過剰なまでに追求するシステムに変貌しているのです。」という言葉には、思わず納得してしまいました。

大企業で不正が多発するのは、会社から無理な目標を設定された時、それは無理ですと言えないからだというエピソードも紹介されていましたが・・・
本来、不況で物が売れなくなれば、目標を下げるべきなのに、逆に従来と同じ利益を出そうと、目標を上げてしまう・・・こうなると、アダム・スミスの需要と供給のバランスという「神の見えざる手」とは、完全に逸脱していますね。
需要と供給のバランスを無視して、無理な利益を絞り出すよりは、本来の資本主義に立ち戻れば、未だ経済成長をしそうな気もします。

余談ですが、この番組のタイトル・バックにビートルズの「愛こそはすべて」が流れていたのですが・・・皮肉に感じられました。
ピンク・フロイドの「マネー」あたりの方が似合っていたのに・・・