本来のディープ・ジョイント

昨日は、オールドのレスポール等にライトゲージの弦を張ると、サドルが後ろ側ギリギリになる理由について書きました。
当時の太い弦用に設計されていたのに、ブリッジの取り付け位置は前側になっている事が不思議でした。

オールドとの違いという点では、ヒストリック・コレクションのレスポールはディープ・ジョイントを採用した事で話題になりましたが・・・オールドのものとは少し違うようです。

「ザ・ギブソン」というムック本によると・・・
「指板の剥がれた1950年代のレスポールを修理している時にわかったことだが、その時の指板接着面の状態から推測される作業手順は次の通りである。-①ネックとボディをジョイントする。②ネックの表からボディ・トップまで指板接着面を平らに成型する。③指板をネックとボディの両面にわたって接着する(図4)。この時、固定具はネックとボディの両者にわたっる大型のものを使う。」
・・・という事である。
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「ザ・ギブソン」 ギターマガジン・ムック リットー・ミュージック

つまり、オールドのレスポールは、ネックとボディを接着した後から、指板を接着していたみたいです。
しかし、ヒストリック・コレクションでは、既に指板を接着してあるネックをボディに接着しています。

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オールドの方法だと、最初にネックを強固に接着します。
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その後、指板で蓋をするように、さらに強固に接着しています。
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しかし、ヒストリック・コレクションの方法では、指板とボディ・トップが強固に接着されるだけです。
もしネックの厚みがありすぎると、指板が浮いてしまうのですが・・・厚みがピッタリでも、接着剤の分だけ浮いてしまうため、ネックは僅かに薄く作られていると推測されます。
もちろん、接着剤が充填されているので、隙間が空くようなことはありませんが・・・ネックの底面はボディに強固に接着されないのです。

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つまり、ヒストリック・コレクションの方法では、オールドのように強固に接着されないのです。
さらに、写真を見ると、指板には既にフレットも打ってあるようなので、クランプで充分に圧力をかけていないような気もします。

恐らく、オールドのような方法では手間がかかるので、強固に接着するという効用には目をつむり、見た目だけのディープ・ジョイントにしたものと思われます。