シルバーシートのおばさん

昨日は、「有難う」という言葉は仏教が元になっていて、滅多にない事(有難い)に感謝する事だと書きました。
ちなみに、「有難う」の反対語は「当たり前」なのですが・・・どうも、有難うがいつしか当たり前になっている事が多いような気がします。

困っている人を見たら助けるのは、珍しい事だったのかもしれませんが・・・「当たり前」の世の中であって欲しいし、助けられた人は「当たり前」ではなくて「有難う」と感謝するような社会が望ましいと思います。

ふと、思い出したのが、以前、電車のシルバーシートの前で見かけた光景です。

おばさんが、腰かけている若い人に向かって
「最近の若者は席を譲らないね」
「私は病気なんだから、寝ているフリなんかしていないで、席を譲りなさい」
言われた若者は寝たふりなのか、目を開けずに無視しています。

「服を脱いでみれば判ると思うけど・・・手術の跡がいくつもあるんだよ」
凄いおばさんだなぁ・・・と思っていると、言われた若者とは別の女性が
「何もそんな言い方しなけくても、具合が悪いので席を譲ってください、と言えばいいじゃない」
もっともな意見だと思いました。
「あんたに何が判るんだい?」
「私だって、病気で入退院を繰り返しているんです」
すると、おばさんは
「私は、手術を何回も受けているんだよ・・・この前も席を譲らない若者に、服を脱いで全身の手術の跡を見せたら、そいつは土下座して謝ったよ」
ほんとかよ・・・ちょっと、おばさんに同情する気持ちがあったのが、一気になくなりました。

すると、見かねたのか、若者の隣に座っていたおじさんが席を譲りました。
おばさんはお礼も言わずに座ると、最近の若者はダメだ、と大声で言い続けていました。
ちょっと、寝ている(寝たフリ?)若者が可哀想に思えてきました。

このおばさんは極端な例だと思うのですが・・・どうも、病気とかの場合に、周囲から親切にしてもらう事が当たり前と思って、感謝の気持ちを忘れがちですね。

もちろん、シルバーシートに限らず、具合の悪い人には席を譲った方が良いのは当然です。
そういえば、日本人は親切なのに、電車で老人に席を譲る人が少ないのが不思議だ・・・と、外人がインタビューに答えていたのを読んだ事があります。