58ヴィンテージと59ヴィンテージ

昨日は、ギブソンナッシュビル工場内にあったカスタムショップについて書きました。
1982年から1984年の期間は、カラマズー工場のリペア&カスタムオーダー部門と両方で、カスタムオーダーの楽器を製作していました。

この時期は、丁度レスポール80(ヘリテイジ)の仕様に満足できなかった楽器店によるレスポールのカスタムオーダーが多かった時期にあたり、両方の工場で10以上のカスタムオーダー品が作られていたそうです。

日本ギブソンも、1982年に58ヴィンテージを、続く1983年に59ヴィンテージをオーダーしています。
59ヴィンテージは、さらに要求仕様がアップしており、オールド同様のオープンOロゴ、9から始まるシリアルナンバー、エボニー指板となっています。

しかし、58ヴィンテージがカラマズー工場で作られたのに対し、翌年の59ヴィンテージはナッシュビル工場で作られました。
このため、サイド・ポジションマークがべっ甲柄でなく小さい黒い物となっていたり、ネックのジョイント位置が変わったり、ブッシュ側から袋ナットで絞めるタイプのペグ等、仕様が後退してしまった部分もあります。

一番の違いは、カラマズー製が楽器として作りが良いのに対して、ナッシュビル製は作りが雑となっている点です。

58ヴィンテージと59ヴィンテージとも人気が高かったので、玉数が少ないのを補うために、1982年に発売されたレオズ・ヴィンテージが緊急輸入されて58ヴィンテージとして売られたり、1983年に発売されたレスポール・リイシューが59ヴィンテージとして売られたしました。

レスポール・リイシューは59ヴィンテージに似ているのですが、指板がローズウッド、シリアルナンバーの最初が製造年といった点が異なっています。
このレスポール・リイシューはナッシュビル工場製なのですが、通常のカタログ製品のためカスタムショップ製ではないため、さらに作りが悪くなっています。

例えば、コントロール・キャビティからピックアップまでの配線を通すルーティングですが・・・
58ヴィンテージは、ロングドリルによる丸い穴
59ヴィンテージも、ロングドリルによる丸い穴ですが、1.5倍ぐらい穴が大きい
レスポール・リイシューは、トップ接着前に掘られた四角い穴で、さらに倍ぐらい穴が大きい
といった感じです。

もっとも、空洞が大きいことは、軽くてセミアコ的な響きがあるという特徴があり、一概に悪いともいえません。
また、59ヴィンテージもエボニー指板のため一味音が異なる等、それぞれ個性があります。

イメージ 1
ギブソン 58ヴィンテージ 1982年製

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ギブソン 59ヴィンテージ 1983年製

イメージ 3
ギブソン レスポール・リイシュー 1983年製