パリッシュ

昨日は、刷り師シャルル・ソルリエの息子のピエール・ソルリエの絵を紹介しました。

ピエール・ソルリエの絵は、写真で見るとイラストっぽい軽い感じに思えるのですが、実物を視るとインパクトがあります。

そういえば、マックスフィールド・パリッシュの展覧会を見にいったときにも、同じような事を感じました。

御存知のように、パリッシュは、ノーマン・ロックウェル同様に一時代を築いたアメリカを代表するイラストレータです。
彼の描いた絵のポスターは、アメリカの家庭の半分に飾られていたなんて言われています。

・・・で、軽い気持ちで展覧会を見にいたのですが、その原画の素晴らしさに驚きました。
メランコリーな作風は写真でも判りますが、その迫力は写真では全く伝わってきませんでした。

パリッシュの絵というと、パリッシュ・ブルーという鮮やかな青が有名ですが、それ以外の色も存在感があります。
なんでも、一色塗ると乾かしてからニスを塗る、ということを繰り返して、気の遠くなるような手間をかけて、作品を仕上げていたそうです。
だから、作品から強烈なインパクトが感じられるのですね。

パリッシュは絵を商業ベースに乗せた最初の画家とも言われていて、原画をポスター、カレンダー、雑誌の表紙等で使って、多くの利益を得ていたそうです。
これだけ一つの作品に手間をかけて絵を仕上げていたのですから、そのような売り方をしたのも納得がいきます。

財産を築いたせいか、晩年は、メランコリックな商業ベースのものではなく、風景ばかり描いていたそうです。
そして、この風景画がまた素晴らしいんですよね。
何気ない風景が描かれているだけなのに、実物の絵からは画家の力量が伝わってきます。

数年前に、アメリカンナショナルミュージアムにより、パリッシュの有名な作品数点を版画(ジグレー)にしたものを限定販売されました。
ちょっぴり期待して購入したのですけど・・・
キャンバス地を使っていたりして原画を再現しているくせに、ポスター同様に原画の素晴らしさは伝わってきませんでした。

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マックsフィールド・パリッシュ展 図録

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「夢想」 パリッシュ ジグレー(475部限定)