アナザー・ストーリー?

漫画家の鳥山明さんや声優のTARAKOさんが亡くなったというニュースがありました。

私とそんなに年齢が変わらないのでショックで、なんか時代が変わったという感じです。

 

さて、前回はニューポート・フォーク・フェスティバルでボブ・ディランが戦前のSJ-200ダブルピックガードを使っていた事を書きましたが・・・

昨日のNHK「アナザー・ストーリーズ」は「ボブ・ディラン 〜ノーベル文学賞 “原点”のステージ〜」という事で、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで、ボブ・ディランエレキギターを初めて使った事を取り上げていました。

 

期待して視たのですが、内容的には・・・なんか結論ありきで、嘘とはいわないけど都合が悪い事は省略したり曖昧にしてあるように感じました。

以前は、フォークを期待していた観客から大ブーイングを浴びて、涙ながらエレキ演奏は3曲で引っ込んで、再度アコギを抱えて登場しブーイングへの返答として「イッツ・オールオーバー・ナウ・ベイビー・ブルー」をフォークへの決別として歌ったと言われており、今回の番組もその説に沿った内容で構成されていました。

 

しかし、最近は、演奏が良く聴こえなかったためのブーイングもあり、フォークを期待したブーイングに対して逆にエレキを使ったことに対する応援も多かったと言われています。

番組でも、当時の観客(後にボブ・ディランノーベル文学賞に推薦した人)が、後ろの方の席だったので、前列の方で揉めていたが良く判らなかったと語っていました。

 

前回も書きましたが、どうやらニューポート・フォーク・フェスティバル自体も必ずしもフォークの祭典という訳でなく、ブルース・ミュージシャン等も出演しているし・・・おじさん・おばさんのコーラス隊や壇上でフォークダンスを踊る一団なんかも出演していました。

 

もちろん、ハウリング・ウルフ等は大音量でエレキ演奏していますし・・・ポール・バターフィールド・ブルース・バンドも単独で出演しエレキ演奏していますので、観客のエレキ演奏に対する拒否反応なんてあるはずないですね。

というか、ボブ・ディランは前日(7月24日)にはアコギで演奏したのですが・・・ポール・バターフィールド・ブルース・バンドの演奏を観て、翌日(7月25日)に彼らをバックバンドとしてエレキを演奏する事にしたのです。

 

で、7月25日の昼に急遽リハーサルをしたのですが、時間が無かったため3曲しかできなかったので、最初から本番も3曲しか演らない予定だったそうです。

ちなみに3曲は「Maggie's Farm」、「Like A Rolling Stone」、「It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry」で、演奏後にボブ・ディランは「オーケー・レッツ・ゴー」と言って引き揚げています。

もちろん、泣きながら歌ったりしていません。

さらに、リハーサルが不十分だったため音量が小さかったので、後ろの方の観客は聴こえなかったようです。

 

で、たった3曲で引き揚げてしまったので、PP&Mのピーター・ヤーローがもう少し歌って欲しいと懇願したので、ブーイングに対してフォークを歌うよう説得した訳ではありません。

その後、アコギに持ち代えて最初に歌ったのは「ミスター・タンブリン・マン」で2曲目に歌ったのが「イッツ・オールオーバー・ナウ・ベイビー・ブルー」だったので、これも別にブーイングに対する返答だった訳ではないようです。

 

もっとも、確かにフォークのプリンスがエレキを演奏したという事は、時代は変わった事を象徴していますね。

そして、ノーベル文学賞ボブ・ディランに与えられた事も、時代は変わったと言えると思います。