モネの睡蓮

前回、東京都美術館で開催されている「印象派」展を観に行った事を書きました。

この展覧会でもモネの「睡蓮」が展示されていました。

少し前まで上野の森美術館で開催されていた「モネ 連作の情景」展でも「睡蓮」が展示されていました。

ご存知のように「睡蓮」はモネの代表作で、何枚も同じ題材で描かれています。

 

印象派」展の会場に置かれていたチラシを手に取ってみたら、今年の秋に国立西洋美術館でも「モネ 睡蓮のとき」という展覧会が開催されるようです。

この展覧会では大画面に描かれた「睡蓮」が何枚も展示されるそうです。

やはり、モネの「睡蓮」は人気があるようです。

 

私は、モネにとって「睡蓮」や「睡蓮の池」という作品は画業のターニングポイントになった作品だと考えています。

それまでモネは「印象 日の出」や「積み藁」など、屋外でモチーフとなる風景を探し、それから受けた印象を描いていました。

しかし、睡蓮を描く時は、わざわざ川の水を庭に引き込み池を作って、太鼓橋を架け、日本から輸入した睡蓮を浮かべています。

つまり、先に頭の中にイメージがあり、それを描くための構図が得られる庭を作っているのです。

ちなみに、そのイメージとは、浮世絵の広重の「名所江戸百景 亀戸天神境内」等といわれています。

 

また、「睡蓮」以前の作品は手ごろな大きさのキャンパスに描かれているのですが、「睡蓮」以降の作品では、大きなキャンバスに描かれた物が目立ちます。

つまり、以前の作品は屋外で光の移り変わりを捉えて短時間で制作するため、大きなキャンバスが使えなかったのですが・・・「睡蓮」以降は既に頭の中にあるイメージを描くため、大きなキャンバスに描く事ができるようになったのです。

 

事実、晩年のオランジェリーの睡蓮が描かれた大装飾画は新たに巨大なアトリエを建てて屋内で制作しています。

制作時の様子を写した写真には、デッサンやスケッチ等は写っていなく、いきなり白いキャンバスに描いているようです。

 

もちろん、初期の睡蓮を描いた作品は、庭の池の前にイーゼルを立て睡蓮を見ながら描いたと思われますが・・・それでも、写生というよりはモネの頭にある理想の睡蓮のイメージを描いていたと考えれます。

だから、モネの「睡蓮」に特別な感動を受けるような気がします。

 

「モネ 睡蓮のとき」展 チラシ