少し前にマーチンのOMモデルの復活について書きました。
その中で、1969年のSOM-28はスキャロップでないフォワード・シフテッド・ブレイシングでしたが、1977年のSOM-45はフォワード・シフテッドのスキャロップ・ブレイシングとなった事を書きました。
おそらく、フォワード・シフテッドのスキャロップ・ブレイシングの復活は、このSOM-45が最初だと思われます。
ご存じのように、1976年登場のHD-28でスキャロップ・ブレイシングは復活しましたが、この時はフォワード・シフテッドではありませんでした。
調べてみると、D-28系にフォワード・シフテッドが復活するまでには、かなりの道のりがありました。
おそらく、大きいドレッドノートのボディだと強度的に不安があったのでしょう。
SOM-45の登場と同じ1977年に、マンドリン・ブラザースがマーチンに1934年製D-28のリイシューを225本、1939年製D-45のリイシューを91本オーダーします。(実際に出荷されはじめたのは1979年からです)
これらのマンドリン・ブラザースのリイシューもスキャロップ・ブレイシングでしたが、未だフォワード・シフテッドではありませんでした。
1979年にマーチン社はカスタムショップを立ち上げ、一般からのカスタムオーダーを受け付けるようになります。
そうしたらマンドリンブラザース同様に戦前仕様のD-28の要望が多かったため、1980年にカスタム15としてラインナップに登場します。
なお、初年度1979年のカスタムショップ製は257本、翌1980年は338本+カスタム15が95本です。
また、当時の日本の代理店だった東海楽器も同様なオーダーをして、1981年にHD-28カスタム・リミテッドとして国内販売しています。
しかし、これらも未だフォワード・シフテッドではありませんでした。
やっと1984年に発表されたHD-28Vになって、フォワード・シフテッドのスキャロップ・ブレイシングが復活します。
しかし、このHD-28Vは1本作られたのみ、実質的にはプロトタイプだったようで・・・1996年にHD-28VRとして再登場します。
1985年のギター・オブ・マンスのHD-28LEでもフォワード・シフテッドのスキャロップ・ブレイシングが採用されており、こちらは87本作られたので正式な復活と言ってもよいでしょう。
また、1990年頃にはカスタム15の仕様が変更されたようで、フォワード・シフテッドが採用されています。
残念ながら、HD-28登場(1976年)の翌年製です。
こちらも残念ですが、D-28のリイシューでなく、D-45のリイシューです。
レアなグローバーペグの極初期カスタムショップ製HD-28
1979年後半(シリアルナンバー416625以降)にペグがグローバーからシャーラーに変更されています。
カスタムショップ製では、モデル名はなくCUSTOMとスタンプされています。