モネと「おかえりモネ」

今日は文化の日、新型コロナの感染も落ち着いた感じなので、三菱一号館美術館で開催している「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜」を観てきました。
ほとんどが日本初公開ということで、興味深かったです。
チラシや図録の表紙に載っているモネの「睡蓮の池」は立体的な感じで、数多くあるモネの睡蓮作品の中でも傑作の部類だと思います。
また、ほとんど知られていない画家レッサー・ユリィの絵ハガキ2作品が、あっという間に売り切れたと話題になっていますが、確かに素晴らしい作品でした。

 

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イスラエル博物館所蔵「印象派・光の系譜」 チラシ、作品リスト

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イスラエル博物館所蔵「印象派・光の系譜」図録

モネといえばNHKの朝ドラ「おかえりモネ」が先週で最終回となりましたね。
放送開始の頃、画家のモネとは関係がないみたいだ、と書いたのですが・・・脚本家はモネの作品も意識していたようです。
モネの作品といえば、自然を題材にして時や季節の移り変わりを描いているので、そういわれると関連がありそうです。

 

「おかえりモネ」の脚本と言えば、多くの伏線がある緻密な構成で、素晴らしいと思いました。
評論家もアレコレ書いていますが、番組のテーマは「時間や距離に関係なく、みんなつながっている(循環している)」という事だと、私は理解しました。
タイトルの「おかえり」も循環を表しているし・・・タイトルバックの風になびく長い布(一部CG)はみんなつながっている事を意味していたのでしょう。

 

最終回のタイトル回収のシーンで、幼馴染が手をつなぐのも、震災で離ればなれになった心がつながった事を表していました。
ちなみに、手をつなぐ事が不自然にならないように、事前に、東京(汐見湯)に幼馴染が集まった時にも手をつなぎ、子供の頃にUFOを呼ぶために手をつないで輪になった事を回想するエピソードが挿入されていました。

また、最終回で一番大事なシーンは、海岸で主人公モネが子供たちに、海と空と山がつながっている事を話すところで・・・自分が幼い頃祖父に教わった事、さやかさんに登米で教わった事、気象予報士の朝岡さんに教わった事を、世代を超えて子供達につないでいくという意味だと思います。
(そういえば、その前のシーンでは、さやかさんが「私はモネの中で生きている」と話していました)
あそこでも、子供達が登場するのが不自然にならないよう、事前に、お父さんが塾を始めると言い出したり、お母さんが昔小学校の教師だったというエピソードが挿入されていました。

 

このように「おかえりモネ」は、幾重もの伏線がある壮大なシンフォニーのようなドラマでした。
もっとも、壮大なシンフォニーが一般の主婦に理解されるのか?というと、簡単な歌謡曲の様な従来の朝ドラの方が受け入れられるようです。
今週からは、新しい朝ドラ「カムカムエブリバディ」が始まりましたが・・・はたして、シンフォニーか?歌謡曲か?どちらでしょう。