法学部出身なの?

前回、最近のニュースで気になる事を書いたのですが・・・日本学術会議の問題は、国会で変な方向に行ってしまったような気がします。

 

前回、書いたのは「法律で推薦という手順が決まっているのなら、推薦された内容に疑問があったら、いきなり任命拒否せずに、推薦したところに推薦理由を問いただすというのが、普通の手順だと思う」という事です。

 

そもそも日本学術会議法では「内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があつたときは、日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。」(25条)とか「内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の申出に基づき、当該会員を退職させることができる。」(26条)と定めてあるように・・・総理大臣といえども、学術会議の同意や学術会議の申出がなければ会員の辞職や退職をさせる事はできません。

それほどまで、学術会議の意向を尊重しているのですから、内閣総理大臣が学術会議の意向を無視して勝手に推薦された会員を拒否できないと考えるのが普通だと思います。

 

で、国会審議で任命拒否の理由についての答弁を聞くと、「民間出身者や若手が少なく出身や大学にも偏りが見られる。」と言った事を根拠としているようですが、これは会員の選定基準ですね。

もちろん、日本学術会議法では、総理大臣の答弁のような選定基準はありません。

日本学術会議法以外の選定基準を決めるのは、推薦する側の学術会議側にあるので、総理大臣が勝手に選定基準を設けるのは越権行為となります。

もし選定基準に疑問があるのなら、やはり学術会議側に問いただすというのが普通の手順ですね。

ところが、野党側の追及は、「人文科学系の研究者だけ任命拒否したのは、『総合的・ふかん的な観点』に反するのではないか」等、選定基準の決定権が総理大臣にある事を認めてしまっています。

 

そういえば、前回「公務員は国民のために働くのであって、政府のために働くのではない」とも書いたのですが・・・これも憲法15条に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と定められています。

菅総理大臣は法政大学の法学部出身だそうですが・・・法律に関してもう少し勉強して、自分勝手な解釈をしないようにした方が良さそうな気がします。