伝教大師巡礼

昨日、母が脳梗塞で入院した事を書きました。
今日も、仕事から帰ってから、病院に行ったのですが・・・症状は変わらず・・・声かけには反応するものの、意識ははっきりしていません。

こうなると、アニミズムを信じている私も、つい神仏に祈ってしまいますね。
仏教でいうと、現世利益なので、空海真言密教でしょうか?

そこで、思い浮かんだのが・・・先日、読み終わった、空海のライバルである最澄を扱った瀬戸内寂聴著の「伝教大師巡礼」という本です。

空海については、司馬遼太郎の「空海の風景」という判り易い名著があるのですが・・・最澄については、判り易く書いた本がないのか?探していて見つけた本です。
なかなか良い本だったので・・・なぜ、もっと多くの人に読まれていないのか、ちょっと不思議なくらいです。

やはり、最澄空海ほど人気が無いのでしょうか?
そういえば、この本の中では「お大師さん」といえば、最澄の事ですが、世間一般的には「お大師さん」といえば、空海の事ですね。
日本で最初に大師の称号を贈られたのは最澄の方なのに、不思議ですね。

さて、最澄といえば、我国の天台宗の開祖ですが・・・唐から戻って来たときに、後ろ盾だった桓武天皇が病だったため、密教の病気平癒の祈祷を行っています。
自分が唐で教わったのは、密教の一部であり、完全な物でない事を知っていたので、おそらく悩んだのではないでしょうか?
その結果、桓武天皇が逝去してしまい・・・その後、空海が唐から帰ってきて、真の密教を知ることになります。

おそらく、最澄の求めたのは、現世利益のような仏教ではないと思います。
でも、大事な人のために、一心に祈祷するというのも、人としてのあるべき姿だという事に気づいたのだと思います。