付喪神

NHK日曜美術館で妖怪の話をしていました。
百鬼夜行図なんかを見ると、楽器の妖怪も多いですね。

いわゆる付喪神といわれる道具の妖怪なのですが・・・
数ある道具の中でも、楽器が描かれる率が高いのは、昔の人も楽器に魂が宿っているように感じた事が多かったのではないでしょうか?

楽器は音という形で、自分を表現することができるので、その違いが分かりやすいのだと思います。
おそらく職人が使うような道具は、使いやすさという形で自分を表現しているのだと思うのですが、一般の人には
その違いは分かりづらいのだと思います。
あと、楽器という道具は、他の道具に比べて、持ち主に愛されやすいという事もあると思います。

もっとも、付喪神は、道具が百年たつと魂を得て精霊に変化するというのですが・・・
私が信じるアニミズムは、すべての物に魂が宿ると思っているので、少し違います。

確かに、古いものには魂が宿っているように感じることが多いのですが・・・
先日も書きましたが、たとえ新しいものでも、それを作った職人に愛された物は魂が宿っているように感じることが多いと思ってます。
そして、古いものは、それまでの所有者によって愛された物が、魂が宿っているように感じることが多いと思っています。

もちろん、それ以外のものにも魂が宿っていると思うのですが・・・
野生動物が、人と心を通わせないないのに対して、人に愛されたペットは人と心を通わせるようになります。
それと同じように、人に愛されたものは、人と心を通わせるので、魂が宿っているように感じるのではないかと考えています。

だから、大量生産されたような新品の物には、あまり魂が宿っているように感じることが少ないのだと思います。
そして、古いものでも、新品のまま仕舞い込まれていたものには、あまり強く魂が宿っているように感じることはないのです。
もっとも、古いものには職人が手間暇をかけて作っていたものが多いので、その分は、魂が宿っているように感じることがあります。

私の場合、ギターで魂を宿っているように感じることが多いのですが・・・
ボロボロのギターでも、前の持ち主に頻繁に使われていたようなものは、良い音がすることが多いです。
それに対して、前の持ち主に大事に扱われなくてボロボロになったものは、たいていの場合、良い音はしないですね。
あたかも、以前の飼い主に虐められていたペットが人を拒否するような感じです。

日曜美術館」の中では、捨てられた道具が付喪神になる話も紹介されていましたが・・・
物を大事にしなければいけない、と思っています。