Flying Dolphin

昨日は、付喪神について書きました。
古い道具が魂を宿るのが付喪神なのですが、私はアニミズムを信じていて、すべてのものに魂が宿ると考えています。
だから、新しいものでも、職人によって愛情を込められて作られたものには、魂が宿っていると感じることがあります。

先日、楽器屋で呼ばれているように感じたNik HuberのFlying Dolphinというギターが、プロトタイプだった事について書きました。
今日は、その話の続きを書きます。

プロトタイプを入手して興味を持ったので、Nik HuberとFlying Dolphinについて、あれこれ調べてみました。

Nik Huberはドイツで代々にわたって木工に携わる家系に生まれ、ポール・リード・スミスにその腕前を認められ、ドイツでは一手にPRSギターのリペアを手掛けていたそうです。

そのNik Huberが、夢に出てきたイメージにヒントを得て、主力製品のDolphinを元に限定で25本製作したのが、Flying Dolphinです。

このFling Dolphin発表当時、Nik Huberがすべてのギターを一人でハンドメイドしていたのですが・・・ペグ以外のブリッジなどの金属製品も自ら削り出していたそうで、ブリッジはまったくのガタつきがありません。
ちなみに、ピックアップもリワイヤリングしていたそうです。
このため、通常のDolphinでもPRSのプライベート・ストックと同等という評価を得ていました。
(現在は、職人も増えて、NCルータも導入して製作本数が増えたため、ちょっと評価が落ちたようですが・・・)

そのDolphinを元に、最高の材を使ってグレードアップしたのが、Flying Dolphinです。
ネック&指板は50年以上前のハカランダ、バックはキルテッドの杢が入ったホンジュラスマホガニー、そしてトップのメイプルは、Dolphinがブックマッチなのに対して、より大柄な杢目のものを1ピースで使用しています。
そして、印象的な、フライング・ドルフィンのインレイは85ピースのシェルを使って曲面に施しています。

調べているうちに、Flying Dolphinにはトレモロ・アームを装備したモデルもあることを知りました。
これは、当時の輸入代理店だったアリアのオンライン・ショッピングのサイトに載っていました。
しかも、そこに載っていた写真をみると、そのギターは2/25と書かれています。
私のプロトタイプは1/25なので、それは2本目に製作されたことが判りました。

普段は、楽器屋で魂が宿っているように感じるギターを購入しているのですが・・・
この時は、どうしてもそのギターが欲しくなり、思わず購入ボタンをポチッと押してしまいました。
そうしたら、エラーと表示されたのです。
ああ、やはり実物も見ずに購入するなんて、自分には向いていないのだな・・・と思って、諦めました。

ところが、先方に記録が残ったのでしょうか?翌日、アリアの方から連絡があり、結局購入することができました。
それも、表示価格よりも安くしてもらって・・・・これも、何かの縁があったのでしょうか。

後日、届いた2/25のFlying Dolphinも、やはり魂が宿っているように感じる、とても素晴らしいギターでした。

イメージ 1
Nik Huber Flying dolphin 2/25 2004年製
(こちらは、ゴールド・パーツ仕様)

イメージ 2
Nik Huber Flying dolphin 2/25 2004年製のバック