ローリング・ストーンズのギター

少し前に発売されたギター・マガジン総集版の「ザ・ローリング・ストーンズ」を見ていて、ふと以前販売された同じ総集版の「ザ・ビートルズ」と比べてみました。

ギターに関する記述がローリング・ストーンズの方が多いですね。

当然ですが、活動期間の長さが違うので取り上げるギターの本数も多くバリエーションがあります。

 

60年代に絞ってみると、ローリング・ストーンズの方が王道のギターを使っているのに対して、ビートルズの方はグレッチやリッケンバッカーのようなマイナーなギターを使って、それを流行らせている傾向がみれます。

もちろん、ローリング・ストーンズもブライアンがVOXマークシリーズのようなマイナーなギターを使っているし、ビートルズも後期にはレスポール・スタンダードやストラトキャスターを使っているので、あくまでもそんな傾向があるという程度です。

 

ちなみに、ローリング・ストーンズも70年代以降は、キースのテレキャスターレスポール・ジュニア、ロニーのゼマティス、あるいはミュージックマン・シルエットのように偏ったギターを使う事が多くなります。

 

ビートルズの使用で有名なエピフォンのカジノも、実はキースが1964年6月のアメリカ・ツアー前に入手して使用しているそうです。

ビートルズでは、最初にポールが1964年12月に入手し、それを見たジョンとジョージがオーダーして1966年に入手しています。

ポールは、ジョン・メイオールの影響で箱モノを探してカジノを入手したと言っていますが・・・メジャーな存在で製造本数も多い姉妹機のギブソンES330でないところから、キースの影響もあったような気がします。(その後、ビートルズの影響でカジノの生産量は増加しました)

60年代前半のイギリスではアメリカ製のギター自体、あまり輸入されていなかったということから、偶然キースと同じカジノを選ぶ可能性はそんなに高くないように思います。

 

そういえば、キースはサンバースト・レスポールも1964年に入手して愛用しています。

クラプトンがサンバースト・レスポールを入手したのが1965年6月・・・フレディ・キングのゴールド・トップに憧れて入手したそうですが・・・人気バンドでTV番組にも多く出演してサンバースト・レスポールを弾きまくっていたキースの姿は目にしていたはず。

無意識でもキースの影響を受けている可能性はあります。

 

以前、ファイヤーバードⅦの製造本数は少ないという事を書きましたが、ブライアンはレアなファイヤーバードⅦのリバース型もノンリバース型も使用しています。

ちなみに、オリジナルのファイヤーバードⅦは388本製造され、約250本がリバース型、ノンリバース型が150本弱と言われています。

 

さらに極め付けが、キースは98本しか製造されなかったオリジナルのフライングVもブライアンの追悼コンサートで使っています。

もっとも、オリジナルのフライングVキンクスのデイヴ・デイヴィスの方が先に使用していたので、その影響かもしれません。

ちなみに、デイヴ・デイヴィスが入手したのは偶然だったようで・・・なんでも、キンクスアメリカ・ツアーの最中にギターが盗難にあって、地元の楽器店に安いギターを探しに行ったら、ほこりを被った変なギターケースを見つけて、店主に「ばかげた形のギター」と言われたのが、オリジナルのフライングVだったそうです。

 

60年代後半になると、ブリティッシュ・バンドのブームの影響でアメリカ製のギターも多くイギリスへ輸入されるようになったそうですが・・・現在と比べると、ギターに関する情報は少なかったはず。

レアなギターや製造中止になったギターも使っている事から・・・当時から、苦労して良いギターを探して手に入れていたのでしょう。