ルソーといえば、ヘタウマともいえる独特な絵を描いたという事は知っていましたが、意外と奥が深いので興味を持ちました。
私も、税関吏で日曜画家であったことから、技法的に劣っていたのが、独自の作風の元になったような印象を持っていました。
よく熱帯地方へ行った事がないので、パリの植物園で見た植物を参考にして熱帯地方を描いたと言われますが・・・
シュール・レアリズム以前に、頭に浮かんだ光景を自由に描いたというのは・・・却って、正式な絵画教育を受けていなかった事が幸いしていたように思います。
番組では、影を描かないとか・・・夕焼け空の上方に太陽を描いたり・・・山並みが空の雲とつながってしまうなど・・・奇妙な点を指摘しています。
単に、自分の興味があるものだけを描いたからこうなったというには、なにやら意図があったような気もします。
そんな中、『私自身:肖像=風景』という作品には、ルソー自身を表すために、自分に関係するものを描き込んでいると言われますが・・・空に浮かぶ雲の形が日本列島に似ているという指摘がありました。
そういえば、その雲の中に赤い太陽が描かれていて・・・まるで「日の丸」のようです。
遠近感を無視した描き方、極端なデフォルメ、人物が正面や横向き多いのは、当時、パリで流行っていた浮世絵の影響ではないか?という説もあります。
ちなみに、当初、浮世絵は日本から輸出する陶器を包む緩衝材として使われていて・・・それが、パリの芸術家の目に留まったと言われています。
ひょっとしたら、税関吏という職業柄、いち早く浮世絵を目にして、強烈な影響を受けて独自の絵を描いていたのか?なんて思ってしまいました。
もし、そうでしたら、正式な絵画教育を受けていないというよりは、当時の最先端の描き方を追求していたのかもしれませんね。
そういえば、番組の中で、グローバーさんが、作品の中に独自のリズム感があると言っていましたが・・・好き勝手に並べても破綻しない描き方というのも・・・デザイン性のある陶器の柄など、日本美術の影響なのかもしれません。
そんな訳で、改めて、じっくりとルソーの作品を観て見たい気になりました。