宇宙のランデブー

先日、発見された小天体が、初の太陽系外から飛来した物だという事が判って話題になりました。
そして、ハワイ語で"遠くから初めてやって来た使者"の意味である「Oumuamua(オウムアムア)」と名付けられました。

なんでも、最初は彗星と考えられていたのですが・・・周囲にガスをまとっていないことが判り、注目を集めたそうです。
その後の観測により・・・太さ130フィート(約40m)、長さ300フィート(約396m)という特異な葉巻型の形状をしており、岩石質もしくは金属を多分に含む材質で出来ている事が判りました。

このOumuamuaは、10月14日に地球に最接近し、その5日後、ハワイ・マウイ島の望遠鏡で発見され・・・太陽と水星の間を通り抜けたときに、太陽の重力で急激に軌道を変え、現在は火星の軌道を通過して遠ざかっています。
今後は、2018年5月には木星軌道を通過、2019年1月には土星軌道を通過し、太陽系から去っていくとみられています。 

この記事を読んだとき、SFファンの方は、アーサー・C・クラークの傑作「宇宙のランデブー」を思い浮かべたのではないでしょうか?
この作品、SF界の2大文学賞であるヒューゴー賞ネビュラ賞を受賞し、続編も3作品発表されています。

内容は・・・地球外から、円筒形の物体「ラーマ」がやってきて、太陽の傍を通過して軌道を変えて去って行くのです。
今回のOumuamuaと異なるのは、人類が宇宙船で、地球に近づいてきた「ラーマ」の調査にいくと、それは金属でできたシリンダー状の人工物だった事で・・・内部は空洞で、自転しているため内部では遠心力による重力が存在していたのです。

やがて、太陽に近づくと、ラーマが活動を開始し・・・内部に人工太陽が灯り、ロボット等が動き出す・・・
一体、何事が始まるのか?と、思っているうちに・・・太陽から離れると、人工太陽は消灯し、ロボット達は活動を停止し・・・何事もなかったように、ラーマは太陽系から遠ざかっていってしまう。

ちなみに、ラーマは全長50キロメートル、直径20キロメートル・・・今回、飛来したOumuamuaは、全長400メートル以上、直径40メートルと、かなり小型なのですが・・・つい、内部に人工世界があるかもなんて想像しちゃいますよね。
昨日、書いたIoTの脆弱性とか、小さな事に悩む未来よりも、ずっと夢があります。

イメージ 1
「宇宙のランデブー」 アーサー・C・クラーク著 南山 宏訳 早川書房