何を学習するかが大事

アルテミス計画のロケット打ち上げが4日に延期されたというニュースがありました。

なんでも、人類の月面着陸はアポロ計画以来の50年ぶりだそうで・・・随分と間が空いていたので、ちょっと驚きました。

 

思わず連想したのが、1968年の映画「2001年宇宙の旅」です。

あの作品では、2001年には軌道上に巨大な宇宙ステーションがあり、月面基地があるという予想だったので、想像より科学の進歩が遅れている気がします。

 

単に宇宙開発が停滞していたというだけではなさそうです。

前回、MidjourneyというAIが絵を描くサービスの話を書きましたが・・・「2001年宇宙の旅」では、木星へ向かうロケットに搭載されたHALという、現在のAIなんかより進んだ人工知能が登場しました。

余談ですがHALという名前は、IBMのアルファベットを1文字づつズラしたそうです。

さらに余談ですが、IBMはInternational Business Machinesの略で日本語にすると国際事務機器といった感じ・・・コンピュータを扱う以前から存在した会社だそうです。

 

で、「2001年宇宙の旅」のHALは、搭乗員に対して反乱を起こすのですが・・・生き残ったボーマン船長によりシャットダウンされてしまいます。

HALは止まる前に、過去に学習したデータを遡り、初めて教わった童謡を最後に歌う演出が印象的でした。

 

前回のMidjourneyについて書いた時も、何を学習させるかが重要だと書きました。

実は、仕事でTensorFlowやScikit-learnを使った機械学習のプログラムをpythonで作っているのですが・・・学習する多様なデータの入手が大変なのと、満足できる正答率を得るまでの繰り返し学習に膨大な時間かかる事が問題点です。

そこで活躍するのが転移学習という手法・・・既存の学習済みデータを使って、その上に新たな学習を行って知識を増やします。

もっとも、学習済みデータはネットにも沢山転がっているのですが、誰が学習させたのか不明だったり、はたして信頼のおける内容なのか?という感じです。

 

確か「2001年宇宙の旅」の原作者アーサー・C・クラークの短編で、世界中のコンピュータがネットワークでつながると・・・ニューロンの構造と同じで脳が出来上がり、ついに自意識を持ち、産声で世界中の電話が一斉に鳴る・・・という話がありました。

もし、転移学習で世界中の学習済みデータを集めた知識を持ったら、一体どうなるのだろう・・・神になるのか?

 

AIは何を学習させるかが重要・・・HALのように人類に反乱を起こすかもしれません(あるいは、ターミネータースカイネットなんかのように)。

AIに職業を奪われるなんて言っている程度の科学の進歩が、実は、幸せなのかもしれません。

 

2001年宇宙の旅」 アーサー・C・クラーク著 早川文庫