ILM(インダストリアル・ライト・アンド・マジック)

昨日、NHKで「ハリウッド 映像王国の挑戦 -「スター・ウォーズ」とILMの40年-」という番組をやっていました。
以前も書きましたが、昔、仕事でCGの制作を行っていた時があり、とても興味深く視ました。

31歳のジョージ・ルーカススター・ウォーズスターウォーズを制作するにあたって、その映像を作れる特撮会社は世界中のどこにも存在しなかったそうで・・・しかたなく、ハリウッドの片隅の倉庫を改造して、若手の技術者を集めて作ったのがILM(インダストリアル・ライト・アンド・マジック)だそうです。

ジョージ・ルーカスは、彼らに第二次世界大戦の空中戦の映像などを見せて、模型で再現できないか?と要望したそうで・・・これに対して、彼らが開発したのが、現在の映像撮影ではなくてはならない、コンピュータで動きを操作するモーション・コントロール・カメラだそうです。

また、人形のコマ撮り撮影も、静止したものを撮影するとカクカクした動きになってしまうので、動かしながらコマ撮り撮影をするゴー・モーションという手法を編み出したそうです。

そして、CGについては、ジュラシックパークの恐竜の様に骨格に筋肉をつけるようにして、生き物を再現できるようになったそうです。

その結果、このような新たな映像技術の追求によって、ILMはアカデミー賞を44回も受賞したということです。

私が、初めてILMのメンバーの講演を聞いたのは、1991年のSIGGRAPHで、丁度「ターミネータ2」を製作途中だった彼らは、いかに生の映像とCGを違和感なく合成するか?という事を、強調していたのを憶えています。

その後、NICOGRAPHで来日したILMのメンバーによる講演では、丁度「ジェラシックパーク」の製作途中で、いかにCGで作った恐竜を生きているように見せるか?という事を強調していました。
なんでも、動物園の動物の動きとかを参考にして、例えば、逃げるときは群れである方向に逃げていたのが、一頭だけ急に向きを変えて反対方向に逃げる、なんてことを取り入れたと言っていました。
可笑しかったのは、CGクリエーター達が、恐竜の動きを真似していたとき、一人が木に躓いて転んだのも、CGの恐竜の動きに取り入れたそうです。

今回の「スター・ウォーズ エピソード7」では、J.J.エイブラムスはCGを多用すると現実味が薄れるために、多くのシーンで実写に拘ったそうで、ミレニアム・ファルコンも実寸大を作成したという事ですが・・・
映画の前半のハイライトである、砂漠の宇宙船の廃墟におけるミレニアムファルコンとタイ・ファイターのチェイス・シーンはCGで製作されたそうで、リアルに見せるために苦労した様子を番組で見ることができました。

ジョージ・ルーカスの手を離れた今となっても、ILMは、いかにリアルに見せるかという当初のポリシーを受け継いでいるんだなぁ、と思いました。

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SIGGRAPH 1991年 プログラム

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「NICOGRAPH データファイル」 社団法人 日本コンピュータ・グラフィックス協会