印象派について

さきほど、NHKの「日曜美術館」で、日本における洋画家のパイオニアである五姓田義松の特集をやっていました。
浮世絵の時代から僅か10年後に、リアルな油絵を描いていた事を知って、驚きました。
パリのサロンでも認められるほどの実力でありながら、見たままリアルに描く事にこだわり、印象派などの新しい流れに乗れず、今ではほとんど知られない存在となってしまったそうです。

で、昨日、モネ展のことを書いたこともあり、印象派について、あれこれ思い浮かべてしまいました。

美術史について詳しくないので、私なりの解釈ですが・・・
印象派が生まれた背景には、写真の発明、浮世絵の存在、チューブ絵具の発明があると思っています。

写真の発明により、ニュースの絵、図鑑の絵、ガイドブックの絵等が写真に置き換わってしまいました。
なかでも、それまで画家の大きな収入源だった、肖像画が売れなくなってしまいました。

そんな時に、日本からの輸入陶器の包装に使われていた浮世絵に注目が集まったのです。
それまでの西洋の画家が追求していた写実的でなくても、芸術性の高いものがあることに気づいたのです。
日本人が初めて西洋画に接したときに、そのリアルさに驚いた事は、想像に難くありませんが・・・西洋人が、リアルでなくても、芸術性が高いものがあることに気づいたときにも、かなり驚いたと思います。

そして、チューブ絵具により、今まで屋外で写生したものを元にアトリエで顔料から絵具を作って絵を製作していたのが、屋外で絵を制作できるようなりました。
屋外で絵を制作してみると、太陽の動きによって、景色の見え方が変わることに気づいたのです。
そのため短時間で描かなければならず、リアルさにとらわれなく大雑把なタッチで描いたのが、印象派の始まりだと考えています。

おそらく、五姓田義松は西洋画のリアルさに驚いた日本人の一人だったのでしょう。
リアルでない浮世絵の素晴らしさについては、気づいていなかったのかもしれません。
だから、リアルでない印象派の流行には乗れなかったのだと思います。

そして、西洋画のリアルさを最初から知っていた、後の世代の黒田清輝は、印象派の流行に乗れたのだと思います。