ホー・チ・ミン

昨日は、民主主義国家なら国民主権憲法に明確に規定して欲しい、と書きました。

民主主義で思い出したのが、ベトナム独立の指導者ホー・チ・ミンの事です。
ホー・チ・ミンは、ほとんど著作を残さなかったのですが・・・
論文、手記、手紙をまとめた「解放の思想」という本があり、その思想の一端が判ります。
そして、その本によると、ホー・チ・ミンは自分たちの政治形態を民主主義と呼んでいます。
ベトナム社会主義国だと認識していたので、初めて読んだときは驚きました。

ホー・チ・ミンは、確かに社会主義者でしたが、いわゆるマルクス・レーニン主義階級闘争とは、少し違っていました。
例えば、労働者に大衆教育を受けさせる事を進めているときに、地主や資本家の子供には教育を受けさせるなという意見に対して、人間が良ければ教育を受けさせろと言っています。
これは、子供の頃に習った儒学や、フランスで体感した自由・独立・博愛の精神の影響があると思います。
あと、社会主義では権力が集中しやすいため、指導者が後に独裁者のようになることが多いのですが、ホー・チ・ミンは、政治にはあまり口出しせず合議を優先し、その生活は質素で、英雄視されることを嫌ったそうです。
この本には、釣りをする姿の写真が載っていますが、その風貌もあって、まるで仙人のようです。
だから、ベトナム国民はホーおじさんと慕っていました。
(偉大なる首領様などと呼ばせるのとは大違いですね)
そんなベトナム国民の事を第一に考えた政治形態だから、民主主義というのも判る気がします。
そして、ベトナムの民衆が、フランスにも、アメリカにも、中国にも負けなかった理由のひとつがその政治だったのではないでしょうか。

で、ベトナムが民主主義なら、アメリカや日本の政治形態はなんなのかというと、それは帝国主義とか資本主義なのです。

確かに、私たちの生活は資本(お金)に振り回されているような気もします。
以前、法律は、人の暮らしを良くするために、人間が作ったものだと書きましたが、
お金も、人の暮らしを良くするために、人間が作ったものです。
だから、お金のために、人の暮らしが悪くなるようなことがあってはならない、と思います。

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「解放の思想」 ホー・チ・ミン著 坂本徳松・大類純編訳 大和書房