ギターとアニミズム

昨日まで、仏教について書いてきましたが、別に熱心な仏教徒という訳ではありません。
一応、我が家は日蓮宗なのですが、法事とかの時に意識する程度です。
 
むしろ信じているのは、万物に魂が宿っているというアニミズムです。
 
最初に、私が魂が宿っているのではないかと感じたのは、ちょっと変わっていますが、エレキギターなんです。
(じつは、私の趣味はヴィンテージ・ギターのコレクションなのです)
ギターを集めだして10本位になった頃でしょうか、一生物のギター欲しくなりました。
そう思いながら楽器屋をのぞいていたら、私の尊敬するラリー・カールトンが所有していた1955年製のフェンダーストラトキャスターが飾ってありました。
当然、値段も高く、ギターの前で1時間位悩みましたが、結局月賦で購入することにしました。
購入を決めた理由のひとつが、このラリー・カールトンのギターを始めて楽器屋で触った時に、総毛立つような感覚を覚えたことです。
それは、職人の使い込んだ工具や古い家具に触れた時と似たような感覚で、なぜか触っただけで良い音がするギターだとピンときました。
私がラリー・カールトンのギターを購入した事を知ってベースを弾く友達が見にきた時に、この話をすると「それはラリー・カールトンの物だったという思い込みがあるからだろう」と言われました。
大体、ギタリストにロマンチストが多いのに対して、ベーシストって人種は現実的な奴が多いです。
でも、いざラリー・カールトンのギターを触らせると「うわっ!コイツは違う!」と、そいつも弾く前から感激してしまいました。
その後もこのギターを触った多くの人間が他のギターに無いフィーリングをうったえます。

さて、このラリー・カールトンのギターは我家の家宝となっていますが、結局、それでギターを購入するのが止ったわけではありませんでした。
それまで、ギター関係の本で得た知識と楽器屋で弾き比べてギターを選んでいたのですが、この時からギターを触った感触というものがギター選びの重要な要素になりました。
未だにラリー・カールトンのギターほど強いフィーリングのギターには巡りあっていませんが、それに近い物はたまにあります。
そのうち、良いギターは触らないでも独特のオーラのような物を発している事に気づきました。
・楽器屋に入った瞬間から、そのギターから目が離せられない
・楽器屋で気配を感じて、その方向を見たら、そのギターがあった
・楽器屋に入る前に、良いギターがありそうだと感じる
よく有名ミュージシャンのインタビューを読むと、愛器購入のきっかけは楽器屋でギターが呼んでいたと表現されていますが、多分同じ感覚です。

良いギターの感触は、使い込んだ職人の工具や古い家具に似ていると書きましたが、それらも感触だけでなく、独特のオーラのような物を発しているようです。
やがて、私にはこれらの物には魂が宿っているのでは?と思えてきました。
いや、むしろ全ての物に魂が宿っていて、新しい物には幼く弱い魂が宿っているので、あまり感じられませんが、古い物、大事にされた物には強く立派な魂が宿っていて、私達にある種の感覚を与えるのではないでしょうか?
そして、ギターなんかの楽器は良い音を出すことにより、魂の存在が現われやすくなっているのではないでしょうか?

きっと昔の人も、身の回りの物から、何かを感じとっていたのでしょう。
すべての物、森も川も山も・・・そして、 宇宙飛行士が地球を見ると、地球が1個の生命体のように感じるそうですが、地球も魂を持っていると思います。
昔の人は、これらの魂に人間的性格を割当て、人間の倫理感を押しつけて神様にしたてあげたのでしょう。
でもそれは、野生動物の思考が人間と異なる様に、人間とは全然違った思考や感情を持っていると思います。

物に魂が宿っていると考えると、すべての物が大事でおろそかに扱えなくなります。
ラリーカルトンの所有だった、1955年製ストラトキャスター
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