さすが、TJトンプソン

ニュースによると、今日もアメリカ軍がイエメンのフーシ派の拠点を攻撃したそうです。そういえば、イスラエルによるレバノンヒズボラの司令官殺害なんて話もありました。そんなフーシ派やヒズボラ、そしてハマスのようなイスラム武装組織の後ろ盾となっているイランは米の石油タンカーを拿捕したというニュースもありました。

こんな感じで飛び火していくと、大規模な戦争になってしまう危険性がありますね。

 

能登半島地震の死者が200人を超えたのに対し、ガザの死者は2万人以上の100倍に上っているし・・・前回、自然要因と人的要因について書きましたが、自然要因は避けられないけど、人的要因の戦争は避けて欲しいと思っています。

 

さて、昨年末に、有名なヴィンテージのマーチンに関するリペア・マンのTJトンプソンについて書きました。
TJトンプソンが制作したショーンバーグとマーチンのコラボにおけるレプリカはOM-45(DLX)4本、000-30が5本、OM-28が6本、そしてマーチン社ディック・ボークによるオーダーの000-42が1本の合計16本だけでした。

 

この中の000-42(1993年製)について、「アコースティック・ギター・ブック24」にオーダーしたディック・ボークのインタヴューが載っていました。
なんでも、ディック・ボークは毎年カスタムショップにギターをオーダーしていたのですが、12フレットジョイント、スロテッド・テーパー・ヘッドの000が欲しかったのですが、昔のジグが無い等でカスタムショップでは製造不可能だったそうです。
諦めていたら、ちょうどマーチン工場にいたショーンバーグとTJトンプソンがヴィンテージ・マーチンのレプリカを作っている事を知り、相談したらTJトンプソンが作れると言ったので、秘蔵していたハカランダ材を提供して作ってもらったそうです。


さらに、TJトンプソンは、バーフレットの採用、アディロンダックのトップ、ヘッドに昔00-45プロトタイプに使われていたオルタネート・トーチ・インレイを施したそうで・・・その素晴らしい出来栄えによりディック・ボークのお気に入りの1本となったそうです。(このオルタネート・トーチ・インレイはエリック・クラプトンも気に入り、後に黒いクラプトン・シグネイチャー・モデルに採用されました)


なお、その000-42をリペア部門のレスター・ワグナーに見せびらかしたら「ジミー・ロジャースのギターに似ている」と言ったので、ジミーロジャースのシグネイチャー・モデル(最初のゴールデン・エラ・シリーズ)の開発の元になったそうです。

 

さて、ここからは私事なのですが・・・ギターが増えすぎたので、使っていない楽器を整理しようと思い、御茶ノ水の楽器屋さんに出張買取を申し込みました。
で、我が家に買取りに来る前の日、何気に、その楽器屋さんのHPをみていたら、中古のショーンバーグ・マーチンのOM-45DLXが売りに出ているのを見つけました。
何故か気になって調べたらTJトンプソン期の1993年製だという事が判明(ダナ・ボジョア期の1989、1990年頃にもOM-45DLXを試作している)・・・そう4本作られた内の1本です。


高価だったのであれこれ悩みましたが・・・思ったより査定額が高かったこともあり、買取りでなく下取りに変更して入手しちゃいました。
(高価といっても、もちろん87,500ドルなんてしませんし、2010年頃のTJトンプソン製OM-45DLXオーダー価格35,000ドルよりも安価)
サイド&バックは柾目のハカランダ、ヴィンテージを再現したネックシェイプは独特、ヴィンテージ同様の彫刻入りのバンジョー・ペグは少々扱いづらいです。
さすがTJトンプソンという感じでサウンドは抜群、愛用の1977年製SOM-45や1969年製SOM-28よりも良いです。
以前、1999年製のマーチンOM-42が今一つだったという事を書きましたが・・・このOM-45DLXの素晴らしさに比べたら月とスッポンです。

 

人間は戦争なんて愚かな事をして市街を瓦礫の山にもするけど、こんな素晴らしい物を作り出す事もするのですね。

ショーンバーグ OM-45DLX 1993年製


ダナ・ボジョア期には、ネックブロックにマーチン製造の金属プレートが取り付けられ、ボディ内にラベルも貼られていたのですが、TJトンプソン期はオールド・マーチン同様の焼き印に改められました。
(そこまでヴィンテージの再現こだわっているとは・・・大してサウンドに影響は無い気もしますけど)

 

ネックブロックの焼き印

 

バックストリップの焼き印