マティスの描き方

昨日のNHK日曜美術館」は、「熱烈!傑作ダンギ マティス」というタイトルでした。
当然ですが、マティスは巨匠で、その美術界に与えた影響を考えれば、話題には事欠かないようです。

もちろん、私もマティスは好きな画家なので、興味深く拝見しました。
色彩の魔術師とも呼ばれるように、番組では、その独特な色彩について多く語られていました。
もっとも、マティスは何度も試行錯誤して、あの素晴らしい色彩を編み出していたということです。

実は、私も、以前開催されたマティスの展覧会で、マティスの制作過程の写真を見て、驚いた記憶があります。
それまでは、マティスの作品から、直感的に絵を作成しているのだろうと想像していたのですが・・・実は、長い時間をかけて何度も描きなおして、制作していたのです。
つまり、天才型というよりは秀才型の努力の画家だったのですね。

番組では、触れていませんでしたけど・・・色彩だけでなく、その単純化されたモチーフの描き方も、何度も形状を変えて描きなおしていたようです。
こちらも、サッと描いたような線の組み合わせから・・・てっきり、インスピレーションを得て描いたものだと、思っていたのですが・・・何度も、描きなおしていたなんて、知った時にはビックリしました。

番組を視て、なるほど、と思ったのは、晩年、マティスが切り紙絵に取り組んでいたのは、病気で身体が動かなくなっていたためという事です。
確かに、切った色紙を台紙の上に並べるのは、配置を簡単に変えられるし・・・違う形状に切った色紙や、同じ形状でも異なった色の色紙なんかに、置き替える事も簡単です。
だから、何度も試行錯誤して作品を仕上げるマティスの手法には、合っていたのではないでしょうか?

さきほど、秀才型と書きましたが・・・確かに何度も描きなおしてたけど、最終的に、素晴らしい色彩や形状を編み出したのですから、やはり、天才だったのは間違いないですね。
見る側に、試行錯誤の苦労を感じさせないというのも、さすがです。